窃盗事件でまず確認すべきこと
窃盗事件では、「被害額が小さいから大丈夫」「返すつもりだったから問題ない」とは限りません。万引き、置き引き、自転車の持ち去り、職場での現金や物品の持ち出しなど、どのような場面で、どのような意思で、何を持ち出したと見られているのかによって、今後の見通しは大きく変わります。
まずは、逮捕されているのか、在宅事件なのか、被害者は誰なのか、被害弁償や示談の余地があるのか、本人がどのような説明をしているのかを整理することが重要です。窃盗事件は、初動対応によって不起訴や前科への影響が変わり得る事件です。
窃盗事件は、他人の物を無断で持ち去ってしまったときに問題となる刑事事件です。典型的には、万引き、置き引き、自転車の持ち去り、職場での現金や物品の持ち出しなどが挙げられます。
本人としては軽い気持ちだった、返すつもりだった、一時的に持ち出しただけだったと考えていても、状況によっては警察の捜査を受け、逮捕や書類送検につながることがあります。
窃盗事件は、被害額だけで決まるものではありません。行為の態様、前科前歴、余罪の有無、被害者への対応、被害弁償や示談の状況、反省や再発防止の内容によって、その後の流れが大きく変わります。
このページでは、千葉で窃盗事件の捜査を受けている方や、ご家族が窃盗事件で逮捕されてしまった方に向けて、窃盗事件とは何か、逮捕されることはあるのか、示談や不起訴、前科への影響、弁護士に相談する意味について整理します。
窃盗事件とは何か
窃盗事件とは、他人の財物を、その人の意思に反して自分の支配下に移す行為が問題となる事件です。刑法では、他人の財物を窃取した者について、窃盗罪が成立すると定められています。
ここでいう財物は、店の商品、現金、財布、スマートフォン、自転車、会社の備品など、他人が所有または管理している物を広く含みます。
そのため、店の商品を会計前に持ち去る場合だけでなく、駅や飲食店に置かれていたバッグを持ち去った場合、駐輪場の自転車を勝手に使った場合、勤務先にある現金や商品券を持ち出した場合なども、具体的事情によっては窃盗事件として扱われることがあります。
窃盗事件でよくある場面
窃盗事件と一口にいっても、実際にはさまざまな形があります。相談で多いのは、店舗での商品持ち出し、いわゆる万引きです。
そのほかにも、駅や飲食店などでの置き引き、自転車やバイクの持ち去り、知人宅や同居人の財布から現金を抜き取る行為、職場での売上金や商品券の持ち出し、工事現場や会社から工具や備品を持ち出す行為などがあります。
窃盗事件では、本人が「借りただけ」「戻すつもりだった」と考えていても、その説明だけで直ちに問題がなくなるわけではありません。実際には、持ち出した経緯、発覚後の対応、返還の有無、防犯カメラ、レシート、位置情報、関係者の供述などの客観的な事情が重視されます。
窃盗かどうかが争いになることもありますが、安易な説明や場当たり的な対応をすると、その後の弁解が不自然に見えてしまうことがあります。
万引きも窃盗事件として扱われます
万引きは、店舗の商品を代金を支払わずに持ち去る行為であり、法律上は多くの場合、窃盗事件として扱われます。
被害額が少額であっても、店舗側にとっては財産を侵害された事件です。警察に通報され、現行犯で対応されることもあれば、防犯カメラや店内記録をもとに後日連絡を受けることもあります。
万引き事件では、被害額だけでなく、初犯かどうか、繰り返しがあるか、余罪が疑われているか、商品が返還されているか、被害店舗にどのように対応したかが重要になります。
また、繰り返し万引きをしてしまう背景に、依存や認知機能、生活環境の問題がある場合には、再発防止の取組みを具体的に整理することが大切です。
万引き事件について詳しく知りたい方は、万引き事件のページもご覧ください。
置き引き・自転車盗・職場での持ち出しで問題になりやすいこと
置き引きでは、財布、バッグ、スマートフォン、現金などを持ち去った場面が問題になります。本人としては「落とし物だと思った」と説明する場合でも、その物がまだ誰かの管理下にあったと見られると、窃盗が問題になることがあります。
自転車の持ち去りでは、「少し借りただけ」「あとで戻すつもりだった」と説明されることがあります。しかし、無断で持ち去った経緯や使用状況によっては、窃盗として捜査されることがあります。
職場での現金や物品の持ち出しでは、窃盗だけでなく、事案によっては横領や業務上横領との関係が問題になることがあります。会社のお金や商品をどの立場で管理していたのか、そもそも自分の占有下にあったのかどうかによって、法的な見方が変わることがあります。
このように、窃盗事件では、事件名だけで決めつけず、何を、どこから、どのような立場で持ち出したとされているのかを整理する必要があります。
落とし物を持ち帰った場合は窃盗なのか
落とし物や忘れ物を持ち帰った場合、窃盗ではなく、遺失物等横領が問題になることがあります。一般には「占有離脱物横領」と呼ばれることもあります。
もっとも、どの物でも当然に遺失物等横領になるわけではありません。店内、駅構内、施設内、車内などで、まだ誰かの管理下にあると評価される物を持ち去った場合には、窃盗として問題になることがあります。
そのため、「落ちていたから窃盗ではない」と単純に考えるのは危険です。どこにあった物なのか、誰の管理下にあったのか、持ち帰った後にどうしたのかを具体的に確認する必要があります。
落とし物や忘れ物の持ち帰りについては、占有離脱物横領・遺失物等横領のページも参考になります。
窃盗事件で逮捕されることはあるのか
窃盗事件では、現行犯でその場で逮捕されることもあれば、後日、防犯カメラ映像や被害届をもとに捜査が進み、呼出しや突然の逮捕につながることもあります。
すべての窃盗事件で逮捕されるわけではありません。ただし、否認している場合、余罪が疑われている場合、住所が不安定な場合、同種前科がある場合、共犯者がいると見られている場合などは、身柄を取られる可能性が高まることがあります。
逮捕された場合には、警察が逮捕から48時間以内に釈放するか検察官に送るかを判断し、検察官は身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求、起訴、釈放のいずれかを判断します。
逮捕の流れが不安な方は、逮捕後の流れも参考になります。
在宅事件として進むこともあります
窃盗事件では、逮捕されず、在宅のまま捜査が進むことも少なくありません。この場合、警察から電話や書面で呼び出しを受け、取調べを受けたり、資料の提出を求められたりしながら手続が進みます。
ただし、在宅事件だから安心というわけではありません。警察の呼出しへの対応、取調べでの説明、被害者への接触の仕方を誤ると、不利に働くことがあります。
逮捕の有無だけで判断するのではなく、いま自分がどの段階にいるのか、警察が何を確認しようとしているのか、被害弁償や示談を考えるべき段階なのかを整理することが大切です。
在宅事件については、在宅事件・身柄事件のページもご覧ください。
窃盗事件のその後の流れ
窃盗事件では、警察の捜査のあと、事件が検察官に送られ、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。
起訴には、正式な裁判を開く公判請求だけでなく、書面審理によって罰金などを求める略式命令請求もあります。略式命令で罰金となった場合でも、有罪の刑事処分であるため、前科として扱われます。
他方で、不起訴には、証拠が足りない場合だけでなく、事情を総合して起訴しないと判断される起訴猶予もあります。
窃盗事件では、被害額、犯行態様、前科前歴、余罪の有無、被害回復ができているか、本人の反省がどの程度具体的か、再発防止策があるかといった事情が重要になります。
初犯で被害額が比較的小さく、被害弁償や示談が適切に進んでいる事案では、不起訴の可能性を検討できることがあります。他方で、同種事案を繰り返している場合、計画性が高い場合、被害額が大きい場合、余罪が多い場合には、処分が重くなる可能性があります。
取調べで注意すべきこと
窃盗事件の取調べでは、いつ、どこで、何を、どのような認識で持ち出したのかが細かく確認されます。
本人としては「借りただけ」「あとで返すつもりだった」「うっかりだった」と説明したい場合もあると思います。しかし、その説明が防犯カメラ、店内での動き、商品の隠し方、発覚後の対応、過去の行動などと合っていなければ、信用されにくくなることがあります。
取調べでは、記憶があいまいなことまで無理に断定しないこと、事実と推測を分けること、供述調書の内容をよく確認することが大切です。
供述調書に、話していないことが入っていないか、曖昧に話した部分が断定的に書かれていないか、前後の事情が抜けていないかを確認し、納得できないまま署名押印しないことが重要です。
取調べについては、取調べを受ける方へも参考になります。
示談が重要といわれる理由
窃盗事件で重要なことの一つが、被害回復です。被害者に対して弁償ができているか、被害者がどのように受け止めているかは、事件の見通しに大きく関わります。
とくに、起訴猶予が問題になる場面では、被害弁償や示談の成立、被害者の処罰感情、本人の反省状況などが重要な事情になることがあります。
もっとも、被害者に直接連絡すればよいというものではありません。突然の連絡や謝罪が、かえって相手に強い不快感や恐怖感を与えることもあります。警察から接触を控えるよう言われている場合もありますし、接触の仕方によっては証拠隠滅や口裏合わせを疑われることもあります。
示談を考えるのであれば、相手方への配慮と手順を踏まえて進めることが大切です。示談については、示談を考える方へもご覧ください。
窃盗事件で前科はつくのか
前科がつくのは、有罪判決や略式命令による罰金など、刑事処分が確定した場合です。反対に、不起訴で終われば、一般にその事件で前科はつきません。
そのため、窃盗事件で不安を感じている方の多くは、「前科を避けられるのか」を大きな関心事として抱えています。
もっとも、前科を避けられるかどうかは、単に初犯かどうかだけで決まるわけではありません。事件の内容、被害回復の状況、本人の生活状況、再発防止に向けた具体的な取組み、前科前歴や余罪の有無など、さまざまな事情が見られます。
だからこそ、早い段階で今の状況を整理し、何を整えるべきかを見極めることが重要です。不起訴については、不起訴を目指す方へも参考になります。
繰り返しの窃盗・クレプトマニアが疑われる場合
窃盗事件では、単発の出来心ではなく、同じような行為を繰り返していることが問題になる場合があります。とくに万引きを繰り返している事件では、常習性や再犯のおそれが重視されやすくなります。
このような場合、単に「反省しています」と述べるだけでは足りないことがあります。なぜ繰り返してしまったのか、生活環境や心身の状態に問題がないか、医療機関や支援機関とのつながりが必要か、家族の監督体制をどう整えるかを具体的に考える必要があります。
クレプトマニアが疑われるような事件では、治療や再発防止への取組みが重要になることがあります。もっとも、病気の可能性を主張すれば当然に処分が軽くなるわけではなく、実際の行動変化や支援体制をどのように整えるかが大切です。
家族が窃盗で逮捕されたときに大切なこと
家族が窃盗で逮捕されたときは、まず事実関係がよくわからないまま時間が過ぎてしまいがちです。逮捕直後の段階では、本人と自由に連絡が取れないことも多く、家族として何をすればよいのか迷いやすい場面です。
この段階で大切なのは、感情的に動くことではなく、今どの警察署で扱われているのか、どの段階なのか、弁護人がついているのか、被害者対応が必要な事案なのかを整理することです。
とくに窃盗事件では、家族が動ける場面と、家族が直接動かない方がよい場面があります。焦って本人に不利な説明をしてしまったり、被害者に不用意に連絡してしまったりするのは避けたいところです。
家族の立場での初動対応については、家族が逮捕された方へもご覧ください。
窃盗事件で弁護士に相談する意味
窃盗事件では、早く相談したからといって、必ず不起訴になるわけではありません。ですが、早い段階で相談する意味ははっきりあります。
まず、事件の内容に応じて、今何が問題になっているのかを整理できます。次に、供述の注意点、被害者対応の進め方、今後の手続の見通しを立てやすくなります。さらに、必要に応じて被害弁償や示談の可能性を検討し、本人の生活や家族への影響をできるだけ小さくするための方針を考えることができます。
窃盗事件は、外から見ると似た事件に見えても、実際には一件ごとに大きく事情が異なります。被害額が小さいから軽い、初犯だから大丈夫、と単純にはいえません。反対に、厳しい状況に見える事案でも、丁寧に事情を整えていくことで、見通しが変わることもあります。
大切なのは、思い込みで動かず、事実に即して判断することです。私選弁護人については、私選弁護人とはも参考になります。
弁護士坂口靖が窃盗事件で大切にしていること
窃盗事件では、事件名だけを見て機械的に判断するのではなく、「その人に何が起きていたのか」を丁寧に確認することが重要です。
たとえば、万引きであっても、初犯の一件なのか、繰り返しがあるのか、生活状況や認知機能、依存の問題が背景にあるのかによって、必要な対応は変わります。職場での持ち出しであっても、窃盗なのか横領なのか、そもそもどの立場で物やお金を扱っていたのかによって、争点は変わります。
当事務所では、被害額や罪名だけで決めつけず、客観的証拠、本人の説明、被害者対応、再発防止策を整理し、その事件で本当に問題になっている点を見極めることを大切にしています。
また、窃盗事件では、被害回復が重要になる一方で、焦って直接連絡すると状況が悪化することもあります。謝罪、被害弁償、示談、再発防止をどの順番で整えるべきかを、事件ごとに検討する必要があります。
当事務所の解決実績には、窃盗事件、窃盗事件の無罪判決、万引き、クレプトマニアが問題となった窃盗事件、巨額窃盗事件などに関する実績も掲載しています。結果は事案ごとに異なりますが、相談前に具体的な対応例を確認したい方は、あわせてご覧ください。
千葉で窃盗事件について弁護士を探している方へ
窃盗事件では、逮捕されたかどうかだけでなく、その後の対応が非常に重要です。警察から連絡が来た段階、呼出しを受けた段階、被害者がいることが明らかな段階、すでに逮捕されている段階では、それぞれ考えるべきことが違います。
千葉で窃盗事件について不安を抱えている方は、まず現在の状況を落ち着いて整理することが大切です。何が起きたのか、誰が被害者なのか、被害弁償が可能か、本人はどのような説明をしているのかによって、対応の仕方は変わります。
窃盗事件は、初動の判断を誤らないことが重要な事件です。早い段階で状況を整理し、今後の見通しを持つことが、その後を大きく左右します。
窃盗事件でよくあるご質問
Q 窃盗事件とは何ですか
A 窃盗事件とは、他人の財物を、その人の意思に反して自分の支配下に移した場合に問題となる事件です。万引き、置き引き、自転車の持ち去り、職場での現金や物品の持ち出しなどが典型例です。
Q 万引きも窃盗事件として扱われますか
A はい。万引きは、店の商品を無断で持ち去る行為ですので、一般に窃盗事件として扱われます。被害額が少額であっても、軽く考えてよいものではありません。
Q 窃盗事件では必ず逮捕されるのでしょうか
A 必ず逮捕されるわけではありません。現行犯で逮捕されることもありますが、後日に呼び出しを受けて在宅事件として進むこともあります。被害状況、証拠の有無、前科前歴、否認の有無などによって見通しは変わります。
Q 逮捕された後はどのくらいで次の判断がされますか
A 警察は逮捕から48時間以内に釈放するか検察官に送るかを判断し、検察官は身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求、起訴、釈放のいずれかを判断します。
Q 在宅事件なら安心してよいですか
A いいえ。在宅事件でも刑事事件であることに変わりはありません。警察の呼出し、取調べ、被害弁償や示談の進め方が、その後の処分に影響することがあります。
Q 窃盗事件で被害者と示談ができれば不起訴になりますか
A 示談ができたからといって、必ず不起訴になるとは限りません。ただ、窃盗事件では、被害弁償や示談が処分判断に大きく影響することがあります。特に、初犯で被害額が比較的小さく、反省が具体的で、被害者の理解が得られている事案では、不起訴の可能性を検討しやすくなることがあります。
Q 被害者に直接謝罪してもよいですか
A 直接連絡が適切とは限りません。突然の連絡が相手に不快感や恐怖感を与えることもありますし、接触の仕方によっては新たな問題になることもあります。示談や謝罪を考える場合には、手順を慎重に検討する必要があります。
Q 窃盗事件で前科がつくのはどのような場合ですか
A 前科がつくのは、有罪判決を受けた場合や、略式手続で罰金となった場合などです。反対に、不起訴で終わった場合には、通常は前科はつきません。
Q 「返すつもりだった」と言えば窃盗にはなりませんか
A その説明だけで直ちに問題がなくなるわけではありません。持ち出した経緯、返還の有無、防犯カメラ、発覚後の対応などを踏まえて、どのような意思があったと見られるかが判断されます。
Q 家族が窃盗事件で逮捕された場合、家族は何をすればよいですか
A まずは、どこの警察署で扱われているのか、逮捕されているのか在宅事件なのか、いつごろの出来事なのか、被害者対応が必要な事案なのかを整理することが大切です。被害者に直接連絡する前に、現在の状況を確認し、どのような対応が適切かを慎重に考える必要があります。
Q 窃盗事件で弁護士に相談する意味はありますか
A あります。窃盗事件では、供述の整理、被害弁償や示談の進め方、不起訴の可能性、再発防止策などを早い段階で検討することが重要です。事件の内容に応じて、今何を優先すべきかを整理する意味があります。

千葉で刑事事件のご相談に対応しています。逮捕、取調べ、示談、不起訴、早期釈放など、事件の状況に応じて必要な対応を一緒に整理します。
