家庭裁判所の手続とは
少年事件では、警察や検察で手続が終わるとは限らず、家庭裁判所に事件が送られ、そこで今後の処遇や対応が検討されることがあります。もっとも、家庭裁判所の手続は、大人の刑事裁判とは大きく異なります。単に罰を与えるための手続ではなく、少年の性格、成長の状況、家庭環境、学校生活、交友関係、再び問題を起こすおそれなども踏まえながら、どのような関わり方が適切かを考えていく手続です。
そのため、家庭裁判所に送られたからといって、直ちに有罪や刑罰という話になるわけではありません。少年事件では、保護処分、不処分、審判不開始、検察官送致など、複数の結論があり得ます。どの結論になるかは、事件の内容だけでなく、その後の調査や家庭での監護状況なども含めて判断されます。
少年事件全体の流れを先に確認したい方は、少年事件の流れもあわせてご覧ください。家庭裁判所の手続は少年事件の中心にあるため、全体像を知っておくと理解しやすくなります。
どのような事件が家庭裁判所で扱われるのか
家庭裁判所が扱う少年事件には、罪を犯した十四歳以上二十歳未満の少年の事件だけでなく、刑罰法令に触れる行為をした時点で十四歳未満だった少年の事件や、十八歳未満で将来罪を犯すおそれがあるとされる少年の事件があります。
もっとも、十四歳未満の事件については、児童相談所などによる児童福祉上の措置が優先され、知事や児童相談所長から家庭裁判所に送られた場合に家庭裁判所の手続に入ります。また、十八歳・十九歳の特定少年については、一般の少年と同じではない特例があります。このページでは、まず家庭裁判所での一般的な流れを押さえることを目的として説明します。
家庭裁判所に送られた後、まず何が行われるのか
家庭裁判所に事件が送られても、すぐに最終的な処分が決まるわけではありません。まずは、家庭裁判所調査官による調査などを通じて、その少年にどのような問題があり、どのような処遇が相当なのかが検討されます。
この段階で見られるのは、事件の内容だけではありません。家庭での監護状況、学校での様子、生活習慣、交友関係、これまでの問題行動の有無、今回の出来事をどう受け止めているかなど、幅広い事情が確認されます。家庭裁判所は、何が起きたのかだけでなく、なぜそのようなことが起きたのか、今後同じことを繰り返さないために何が必要かを重視しています。
家庭裁判所調査官の調査とは
家庭裁判所調査官は、少年事件において非常に重要な役割を担います。少年本人や保護者との面接に加え、必要に応じて家庭訪問、関係機関との連携、心理テストなどを通じて、非行の背景や生活の実情を調べていきます。
調査官の調査では、少年本人の話だけでなく、保護者の考え方や監護の実情も見られます。そのため、家族としては、単に反省していますと伝えるだけではなく、今後どのように生活を整えていくのか、学校や関係機関とどう連携していくのか、交友関係をどう見直すのかなど、具体的な対応を考えておくことが大切です。
家庭裁判所は、本人の反省だけでなく、その反省を支える生活環境が整うかどうかも見ています。少年事件では、家族の関わり方が処分の見通しに大きく影響することがあります。
観護措置とは何か
少年事件でよく問題になるのが観護措置です。観護措置とは、家庭裁判所が審判を進めたり、処分を適切に決めるための心理検査や面接などが必要であると判断した場合に、少年を少年鑑別所に送って一定期間収容する措置です。
少年鑑別所では、心身の状態、性格、行動傾向、家庭環境などについて鑑別が行われ、その結果も家庭裁判所の判断資料になります。収容期間は通常最長四週間ですが、一定の事件で証拠調べが必要な場合には、最長八週間まで延長されることがあります。
もっとも、観護措置は大人の勾留と同じではありません。少年事件では、処罰のためではなく、適切な処遇を選ぶための調査や観察という意味があります。ただし、本人や家族にとって負担が大きいことに変わりはなく、今どの段階にあり、なぜその措置がとられているのかを理解しておくことが重要です。
試験観察とは何か
家庭裁判所の手続では、すぐに最終的な処分を決めるのが適切ではない場合に、試験観察が行われることがあります。試験観察とは、直ちに処分を決めず、一定期間、家庭裁判所調査官の観察のもとで生活状況や変化を見ながら、その後の結論を考えていく制度です。
試験観察の間は、調査官が少年や保護者と面接したり、必要に応じて教育的な働きかけを行ったりしながら、生活の立て直しが進んでいるかを見ていきます。そのため、試験観察になった場合には、単に期間が過ぎるのを待つのではなく、生活習慣、学校や仕事、交友関係などをどのように整えていくかが大切になります。
審判とは何か
家庭裁判所の手続の中心になるのが審判です。審判では、裁判官が、調査結果や鑑別結果、少年本人や保護者の話などを踏まえて、どのような結論が相当かを決めます。
少年審判は、大人の刑事裁判とは異なり、原則として非公開で行われます。これは、少年の更生やプライバシーへの配慮が重視されているためです。少年や保護者等は、弁護士などを付添人に選任することができ、付添人は、少年の正当な権利を守り、適正な審判や処遇決定のために活動します。
また、少年には、言いたくないことを無理に言わなくてもよい権利があります。したがって、審判の場で何をどのように話すかは慎重に考える必要があります。とくに、取調べやこれまでの供述との関係が問題になる場合には、早い段階で方針を整理することが重要です。
審判の結果、どのような結論があるのか
家庭裁判所の審判の結果としては、保護処分、不処分、審判不開始、検察官送致などがあり得ます。保護処分は、少年の更生や再非行防止のために行われる処分であり、代表的なものとして保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致があります。
これに対し、不処分は、審判を経たうえで保護処分に付するまでの必要がないと判断された場合の結論です。また、審判にまで進める必要がないと判断される場合には、審判不開始となることがあります。さらに、刑事処分が相当と判断された場合には、事件が検察官に送られることがあります。
保護処分の内容を詳しく知りたい方は、保護処分のページもあわせてご覧ください。家庭裁判所の手続を理解するうえで、最終的にどのような結論があり得るのかを知っておくことはとても大切です。
被害者がいる事件では何が見られるのか
被害者がいる少年事件では、家庭裁判所は、被害の内容やその後の生活への影響、謝罪や弁償の状況、事件や少年に対する被害者の気持ちなども把握することがあります。被害者への対応は、少年事件でも軽く考えられません。
ただし、謝罪や弁償をしたから必ず軽い結論になるという単純なものではなく、本人の受け止め方や再発防止への取組、家庭での監護の実情なども含めて総合的に見られます。
家庭裁判所の手続で家族が知っておきたいこと
家庭裁判所の手続では、少年本人だけでなく、家族の関わり方も非常に重要です。家庭裁判所は、保護者が今回の出来事をどう受け止めているか、今後どのように監護していくのか、生活環境をどう整えていくのかという点も見ています。
たとえば、交友関係の見直し、スマートフォンやSNSの使い方のルールづくり、通学や生活時間の立て直し、学校や支援機関との連携など、具体的な取組が重要になります。家庭裁判所は、反省しているという言葉だけでなく、その反省を支える環境が整うのかどうかも見ています。
家庭裁判所の手続を正しく理解することが大切です
家庭裁判所の手続は、大人の刑事裁判とは違い、単なる処罰の場ではありません。調査、観護措置、試験観察、審判を通じて、その少年にとってどのような処遇が適切かを考える仕組みです。
だからこそ、家庭裁判所に送られたという事実だけで悲観し過ぎるのではなく、今どの段階にあり、何が見られているのかを正しく理解することが大切です。落ち着いて一つずつ対応していくことが、本人にとっても家族にとっても重要です。
家庭裁判所の手続に関するよくあるご質問
家庭裁判所に送られたら、すぐに処分が決まるのですか
すぐに最終的な処分が決まるわけではありません。まずは家庭裁判所調査官による調査などを通じて、事件の内容だけでなく、家庭環境、学校生活、交友関係、反省の状況、再発防止の見通しなどが確認されます。そのうえで、どの結論が相当かが判断されます。
どのような少年事件が家庭裁判所で扱われるのですか
家庭裁判所が扱うのは、罪を犯した十四歳以上二十歳未満の少年の事件、十四歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年の事件、十八歳未満で将来罪を犯すおそれがあるとされる少年の事件です。もっとも、十四歳未満の事件では児童福祉上の措置が優先され、特定少年はぐ犯の対象外です。
家庭裁判所調査官は何をするのですか
家庭裁判所調査官は、少年本人や保護者との面接、必要に応じた家庭訪問、関係機関との連携、心理テストなどを通じて、非行の背景や生活の実情を調べます。家庭裁判所が適切な処遇を考えるために重要な役割を担っています。
観護措置とは何ですか
観護措置とは、家庭裁判所が必要と判断した場合に、少年を少年鑑別所に送って一定期間収容する措置です。審判を円滑に進めたり、処分を適切に決めるための心理検査や面接などを行うためにとられます。通常の収容期間は最長四週間ですが、一定の事件では最長八週間まで延長されることがあります。
試験観察とは何ですか
試験観察とは、すぐに最終的な処分を決めず、一定期間、家庭裁判所調査官の観察のもとで生活状況や変化を見たうえで結論を考える制度です。その間の生活の立て直しや家族の関わり方も重要になります。
審判は公開されるのですか
少年審判は、原則として非公開で行われます。これは、少年の更生やプライバシーへの配慮が重視されているためです。大人の刑事裁判とは、この点でも大きく異なります。
付添人とは何ですか
付添人は、少年や保護者等が選任できる立場の人で、多くは弁護士です。付添人は、少年の正当な権利を守り、適正な審判や処遇決定のために活動します。
審判では何を話さなければならないのですか
少年には、言いたくないことを無理に言わなくてもよい権利があります。ただし、何をどう伝えるかは、これまでの供述や事件の内容との関係もあるため、慎重に考えることが大切です。
家庭裁判所では、どのような結論がありますか
保護処分、不処分、審判不開始、検察官送致などがあります。保護処分には、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致などがありますが、どの結論になるかは事件の内容だけでなく、本人の状況や家庭での支えの有無なども踏まえて判断されます。
家族は何を意識しておけばよいですか
家族は、感情的に叱るだけでなく、今後どのように監護し、生活環境を整え、再発防止につなげるかを具体的に考えることが大切です。交友関係、生活習慣、学校や支援機関との連携などを現実的に整理していくことが重要です。

千葉で刑事事件に注力。逮捕・示談・不起訴のご相談に対応しています。