薬物事件では、薬物が見つかったという事実だけでなく、どこから見つかり、本人が何を認識していたのかを確認します。所持、使用・施用、譲渡では、問題になる行為も証拠も同じではありません。
自分の車や部屋から見つかったからといって、それだけで本人の物と決まるわけではありません。一方で、「自分の物ではない」と説明するだけで済む事件でもありません。発見場所と、その場所を誰が管理していたのかを具体的に見ます。
薬物の種類と疑われている行為を分けます
薬物犯罪には、覚醒剤、大麻、麻薬・向精神薬、危険ドラッグなどに関する事件があります。薬物の種類によって規制する法律が異なり、所持、使用・施用、譲渡、譲受けなども別の行為として扱われます。
覚醒剤事件では、所持や使用、譲渡などが問題になります。詳しい証拠や取調べへの対応は、千葉の覚醒剤事件のページで説明しています。
大麻については、所持や施用などと、無免許での栽培を分けて確認します。危険ドラッグも、含まれる成分や指定の状況によって問題になる法律が変わります。
| 事件の種類 | 主に問題になる行為 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 覚醒剤 | 所持、使用、譲渡、譲受けなど | 発見場所、尿検査、鑑定、入手経路 |
| 大麻 | 所持、施用、譲渡、栽培など | 成分、発見状況、施用の経緯、栽培の有無 |
| 麻薬・向精神薬 | 所持、施用、譲渡など | 薬物の種類、処方や入手の経緯 |
| 危険ドラッグ | 指定薬物の所持、使用、販売など | 成分鑑定、購入記録、指定の状況 |
所持・使用・施用・譲渡では確認する点が違います
所持を疑われた場合は、薬物を本人が管理していたか、その中身を認識していたかを確認します。一時的に預かった、共用の場所に置かれていたという事情があれば、その経緯も見ます。
使用・施用の事件では、尿や血液の検査結果、押収物の鑑定、本人の説明などが確認されます。陽性結果は重要な証拠ですが、それだけで入手経路や使用時期まで決まるわけではありません。
譲渡や譲受けでは、誰から受け取り、誰へ渡したのかを確認します。代金の有無だけでなく、メッセージ、送金、待ち合わせ場所なども判断材料になります。
疑われている行為から確認する
- 薬物が部屋・車・持ち物から見つかった → 所持と管理の認識を確認
- 尿検査などで反応が出た → 使用・施用の経緯を確認
- 誰かから受け取った、誰かへ渡した → 譲受け・譲渡を確認
- 植物を育てていたと指摘された → 栽培の目的と状況を確認
発見場所と本人の認識を客観的な記録から見ます
本人の衣服やかばんから見つかった場合と、複数人が使う部屋や車から見つかった場合では、事情が異なります。誰がその場所を使い、鍵や容器を管理していたかを確認します。
「中身を知らなかった」「知人が置いていった」という説明がある場合も、その説明を裏付ける事情が必要です。容器の状態、保管場所、指紋、周囲の物、関係者とのやり取りなどを見ます。
スマートフォンには、購入や受渡しに関するメッセージ、通話履歴、送金記録、位置情報が残っている場合があります。端末の一部分だけでなく、やり取りの前後を確認します。
薬物や器具を捨てたり、端末のデータを削除したりしてはいけません。関係者へ連絡し、説明を合わせることも避けてください。証拠への働きかけを疑われる原因になります。
逮捕か在宅捜査かは事件名だけでは決まりません
薬物事件では逮捕される場合がありますが、すべての事件で同じように身柄を拘束されるわけではありません。発見された量や場所、関係者とのつながり、証拠の状況などが確認されます。
住居や連絡先が明らかか、警察の呼び出しに応じているか、薬物や端末を隠すおそれがあるかも見られます。事件名だけを理由に、逮捕や身柄解放の見通しを断定することはできません。
取調べでは、薬物を入手した経緯や、関係者について質問されることがあります。誰かをかばうために事実と異なる説明をすると、客観的な記録と食い違うおそれがあります。
分からないことを推測で答える必要はありません。自分が見たこと、聞いたことと、人から聞いただけのことを分けて説明します。
家族の対応と再発防止は分けて考えます
家族が逮捕の連絡を受けた場合は、警察署、担当部署、連絡時刻を記録してください。自宅の捜索を受けた場合は、交付された書類と、持って行かれた物を保管します。
家族が関係者へ連絡し、入手経路を確認しようとすることは避けてください。善意であっても、証拠への働きかけと受け取られるおそれがあります。
関与を認める事件では、通院や専門的な支援、生活環境の見直しを検討する場合があります。ただし、通院を始めれば再犯を防げる、処分が軽くなると保証できるものではありません。
本人を責めるだけでは、再発防止の内容は見えてきません。薬物を使った経緯、交友関係、仕事や住居の状況を確認し、続けられる対応を考えます。
警察から呼び出された、尿検査を求められた、家族が逮捕されたという段階では、相談を検討してください。複数の弁護士から説明を受け、方針や費用を比較して決めても構いません。
