日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」の企画で、芸人の宮川大輔さんが大量の湯豆腐を食べた際、限界を迎えて土鍋に吐いてしまった場面が放送され、大きな議論を呼びました。「汚い」「店に失礼」などの声がSNS上で相次ぎ、法的な問題はないのかという疑問も多く寄せられています。
この件について私は弁護士ドットコムニュースの取材を受け、土鍋への嘔吐がどのような犯罪に該当し得るのか、また番組制作側にはどのような配慮が必要なのかについてコメントしました。取材記事はこちらです。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_14101/
以下では、番組で起きた行為が法律上どのように評価されるのかを、刑事事件を扱う立場から整理します。
土鍋への嘔吐は器物損壊罪に当たり得るのか
「効用を失わせる行為」は損壊に含まれる
器物損壊罪は、他人の物を故意に損壊した場合に成立する犯罪です。ここでいう損壊には、物を壊す行為だけでなく、「物の効用を失わせる」行為も含まれると考えられています。
例えば、食器に放尿する行為などが典型例で、物としての使用価値を失わせるため損壊に当たります。この考え方からすると、土鍋に嘔吐する行為も効用を失わせる行為として損壊に該当する可能性があります。
ただし故意がなければ成立しない
器物損壊罪が成立するためには「故意」が必要です。演出として「わざと」土鍋に嘔吐したのであれば故意は認められ得ますが、反射的・不可避的に嘔吐した場合には故意が否定されるため、罪は成立しません。
また、テーブルや床を汚さないために土鍋に吐くしかなかった場合には、緊急避難として違法性が阻却される可能性もあります。
器物損壊罪は親告罪である
器物損壊罪は親告罪であり、被害者(飲食店側)が告訴しなければ処罰することはできません。通常、番組側と店舗の間では事前に撮影内容の打ち合わせがなされていると考えられ、店舗が告訴する可能性はほとんどないといえます。
番組制作側に求められる配慮とは
風評被害を避けるための事前調整が必要
飲食店を舞台にした企画では、店の評価に直結するリスクが存在します。制作側が店と十分に打ち合わせを行い、撮影内容や演出のリスクを事前に共有しておくことは不可欠です。
嘔吐シーンを使う場合の工夫
もしどうしても嘔吐シーンが演出上必要であるなら、以下のような配慮が考えられます。
・専用のバケツを用意する
・土鍋や器は番組側が買い取り、再使用しない旨を明記する
・視聴者が店舗に不快感を覚えないよう編集やテロップで配慮する
店側への負担や風評被害を避けることを前提に、演出を組み立てることが重要です。
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その他の取材協力記事
これまでに弁護士ドットコムニュースから受けた取材記事はこちらにまとめています。
https://www.bengo4.com/topics/lawyer/505/
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千葉県弁護士会所属
プロスペクト法律事務所
弁護士 坂口 靖
