山梨県甲府市で起きた放火殺人事件をめぐり、週刊新潮が19歳少年の実名と顔写真を掲載しました。この報道は少年法に反するのではないかと、大きな議論になっています。
私は弁護士ドットコムニュースの取材を受け、この報道がなぜ問題視されているのか、また少年法61条との関係について解説しました。取材記事はこちらです。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_13714/
今回は、少年事件の実名報道が許されるケースや、違法となる理由について、千葉で刑事事件を扱う立場からわかりやすくお伝えします。
少年法61条は実名報道を禁止している
氏名・容貌など「推知できる情報」は掲載禁止
少年法61条は、氏名や年齢、容貌など、本人と推知できる情報の掲載を禁止しています。今回の週刊新潮の報道は、明確にこの規定に抵触する内容です。
ただし罰則はない
少年法61条には罰則がありません。法律に違反しても、刑事罰を受けることはありません。この点が誤解されやすい部分です。
違法でも損害賠償が認められないことがある
表現の自由と衝突するため
少年法61条の趣旨は、少年や家族の名誉やプライバシーを守り、再出発を可能にすることです。しかし、報道の自由・国民の知る権利とも衝突します。
過去の裁判例では賠償が否定されたケースも
類似事案では、少年の実名報道が行われたにもかかわらず、報道内容が「社会的関心事」と判断され、不法行為は成立しないとされた例もあります。
改正少年法と「特定少年」でも状況は変わらない
起訴前は従来どおり実名報道は禁止
2022年4月から特定少年制度が始まりましたが、実名報道が許されるのは「起訴された段階」からです。逮捕時点では、依然として少年法61条が適用されます。
起訴後でも名誉毀損を問われる可能性はある
起訴されていても、過度な晒しや不当な内容であれば、名誉毀損として損害賠償が認められる可能性があります。
実名報道は慎重さが必要
少年の更生を妨げるおそれがある
少年法61条は、少年の将来を守るための重要なルールです。軽視すべきではありません。
報道機関には慎重な判断が求められる
たとえ特定少年制度で範囲が変わったとしても、実名公開には大きな影響があります。報道機関には、個別事情を丁寧に検討する姿勢が必要です。
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千葉県弁護士会所属
プロスペクト法律事務所
弁護士 坂口 靖
