レストランで会計が大幅に安く間違われていた場合、指摘しないまま支払って店を出ると犯罪に問われる可能性があるのか。この点について、刑事事件に詳しい弁護士として解説します。
会計ミスを黙っていると詐欺罪に問われる?
Kさんは、誕生日祝いで訪れた高級レストランで、2万円分のワイン代が伝票から抜け落ちていることに気づきながら、あえて店側に告げず会計を終えたという状況でした。
このようなケースでは、詐欺罪が成立する可能性があります。
不作為(黙っていること)も詐欺になる可能性
詐欺罪は、だます行為(欺罔行為)と、それによって相手が誤りに基づき処分行為をすることが必要とされています。
だます行為には「相手が錯誤に陥っていると知りながら、真実を告知しない」という不作為も含まれると考えられています。
代金に関する事実は告知義務が生じやすい
飲食店との取引関係において、代金は極めて重要な要素であり、実務上は広く告知義務が認められます。
そのため、Kさんには本来、誤った会計金額を店に指摘すべき義務があったと評価される可能性が高いです。
「なんとなく安い気がした」程度なら詐欺にはならない?
明確に間違いを認識していなかった場合、「不作為による欺罔行為」は成立しません。
また、退店後に間違いに気づいた場合も詐欺罪は成立しません。
処罰される可能性は極めて低い
実務では、「会計時に本当にどのような認識だったか」を証明するのが非常に難しいため、刑事処罰に至るケースはほとんどありません。
まとめ
明らかに会計が誤っていると認識しながら、その事実を告げずに利益を得る行為は、状況によっては詐欺罪と判断される可能性があります。
ただし、実際に処罰されるケースは極めて稀です。それでも、トラブルや疑いを避けるため、会計の違和感に気づいた場合は店に確認することが望ましいと言えます。
(弁護士ドットコムニュース)
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千葉県弁護士会所属
プロスペクト法律事務所
弁護士 坂口 靖
