刑事事件の示談は、示談金の金額だけを決める手続ではありません。謝罪、被害弁償、今後の接触、示談書の内容まで含めて考えます。
また、示談は相手方の同意がなければ成立しません。こちらの都合だけで急いでも、話し合いが進むとは限りません。
まず、本人や家族から直接連絡してよい事件なのか、今の手続段階で何を優先するのかを確認します。
刑事事件の示談で確認すること
刑事事件の示談では、事件によって生じた損害への対応や謝罪、今後の関わり方について、被害者側と合意できるかを検討します。
示談が成立したことは、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、起訴後に裁判所が刑を判断する際の事情になることがあります。
ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になる、釈放される、刑が軽くなるというものではありません。事件の内容や証拠、被害の程度、事件後の対応なども確認されます。
示談金を支払うことだけでなく、謝罪の方法、支払時期、今後連絡しないこと、再発防止の内容などを話し合う場合もあります。
不起訴に向けた考え方は、千葉で不起訴を目指す方へのページで説明しています。
被害者への直接連絡は避けてください
本人や家族から被害者へ直接連絡すると、謝罪のつもりでも、相手へ不安や負担を与えることがあります。
特に、性犯罪、盗撮、つきまとい、暴行・傷害、交際関係のトラブルが背景にある事件では、連絡そのものが問題になりやすいため注意が必要です。
何度も連絡することや、事件についての説明を求めることは、被害者への働きかけと受け取られるおそれがあります。相手の連絡先を無理に探すことも避けてください。
謝罪を急ぐことと、相手へ直接連絡することは同じではありません。
まず、相手方の意向をどのような方法で確認するのかを考えます。
示談を検討するときの流れ
- 被害者対応が必要な事件かを確認する
- 本人や家族からの直接連絡を避ける
- 相手方が話し合いを望むか確認する
- 謝罪、被害弁償、接触禁止などの条件を検討する
- 合意できた内容を示談書として残す
手続の段階によって示談の意味は変わります
示談は、逮捕前、在宅捜査中、逮捕・勾留中、起訴後のいずれの段階でも検討されることがあります。
起訴前であれば、犯罪後の対応として検察官の処分判断に関係する場合があります。逮捕・勾留中であれば、被害者との接触を防ぐ環境が整ったことなどとあわせて、身柄に関する判断で検討される場合もあります。
ただし、示談が成立したことだけで釈放が決まるわけではありません。詳しくは、千葉で釈放・保釈を求める方へのページをご確認ください。
起訴後の示談は、不起訴にはつながりません。それでも、被害回復や被害者側の意向として、量刑判断で考慮されることがあります。
相手方の意向を確認し、条件を分けて考えます
示談は合意です。こちらが希望しても、相手方が話し合いを望まない場合には成立しません。
すぐに話し合いへ応じられない被害者もいます。その場合は、返事を急がせず、謝罪文、被害弁償の準備、再発防止策など、こちらで用意できることを確認します。
支払方法についても、一括で支払うのか、分割を相談するのか、支払期限をどうするのかを具体的に考えます。実行できない約束をしてはいけません。
相手方が重視することは、事件によって異なります。金額だけでなく、今後連絡されないことや、同じ問題を繰り返さないことを重視する場合もあります。
| 確認する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 謝罪 | 謝罪の方法、謝罪文を渡すかどうか |
| 被害弁償 | 損害の内容、支払う金額 |
| 支払方法 | 一括・分割、支払期限、振込方法 |
| 接触禁止 | 今後の連絡、接近、SNSでの接触を避ける約束 |
| 再発防止 | 生活環境の見直しや必要な支援 |
| 示談書 | 合意した内容、刑事処分に関する相手方の意向 |
示談書は、合意した内容を確認してから署名します
示談がまとまる場合は、合意した内容を書面に残します。口頭だけでは、後から双方の認識がずれることがあります。
示談書では、対象となる事件、謝罪、被害弁償の金額と支払方法、今後の接触、刑事処分についての相手方の意向などを確認します。
清算条項は、この示談で対象となる民事上の請求関係を解決するための条項です。どの範囲まで解決するのかが分かるようにします。
宥恕文言は、被害者が加害者を許すことや、処罰を望まないことなどを示す文言です。相手方が望まない文言を、当然に入れられるものではありません。
ひな形に書かれているからという理由だけで条項を入れず、事件と合意内容に合っているかを確認してください。
まず、示談を優先する事件かを確認します
被害者がいる事件でも、示談を最初に進めるべきかは事件によって異なります。事実関係を争っている事件では、本人の説明と示談の内容が矛盾しないかも確認します。
逮捕・勾留中であれば、示談だけでなく、接見、取調べ、身柄解放への対応も並行して考えます。在宅事件では、検察官の処分判断までの段階を確認します。
相談時には、事件の内容、現在の手続段階、被害者との関係、これまでに連絡したか、警察から伝えられた内容が分かる範囲で構いません。
示談の成立や刑事処分の結果を保証することはできません。複数の弁護士から説明を受け、連絡方法、対応方針、費用を比較して決めても構いません。
