山形県警が行う「ロック作戦」は、無施錠の自転車に警察官がワイヤー錠をかける啓発活動として知られています。ネットでは「私人がやったら違法なのに、警察はなぜ許されるのか」という疑問が大きく広がりました。
私は弁護士ドットコムニュースの取材を受け、この施錠行為がどのような法的評価になるのかを解説しました。取材記事はこちらです。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_13154/
今回は、警察の施錠行為が違法となるのか。その判断基準を、刑事事件を多く扱ってきた立場からお伝えします。
警察官がワイヤー錠をかける行為は「器物損壊」に当たるのか
形式的には「損壊」に当たりうる
ワイヤー錠をかけると、自転車がすぐには使えなくなります。物の効用が失われるため、形式上は器物損壊罪の「損壊」に該当すると評価できます。
ただし違法性は否定される
警察は警察法2条により「財産の保護」「犯罪の予防」を任務としています。また山形県には、自転車利用者に施錠を促す条例があります。こうした規定を前提に、必要最小限の範囲で行われる施錠は「正当業務行為」と評価され、違法性が否定されると考えられます。
なぜ私人が同じ行為をすると違法になるのか
私人の場合は「正当業務行為」に該当しない
一般人が同じように自転車に施錠すれば、所有者の意思に反する占有移転となり、器物損壊罪が成立する可能性が高くなります。
過去には書類送検の例もある
京都では、注意のつもりで他人の自転車にカギをかけた男性が書類送検されました。目的が善意でも、法律上は許されない行為となるため注意が必要です。
「ロック作戦」はどのように評価されるべきか
犯罪防止と財産保護の観点から実施されている
警察官は、連絡先を添えて施錠し、すぐに開錠できる仕組みを設けています。このように必要最小限の制約にとどめているため、社会的にも合理性のある活動と評価できます。
警察官の対応には目的と必要性がある
盗難防止のために行われている施策であり、所有者を懲らしめる行為ではありません。法的にも、業務としての必要性が認められる点が重要です。
刑事事件・トラブルが生じた際は早めの相談が大切
状況の把握と適切な判断が後の結果を左右する
器物損壊や軽犯罪法違反などのトラブルは、初動を誤ると大きな不利益につながることがあります。警察対応に不安があるときは、お早めにご相談ください。
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千葉県弁護士会所属
プロスペクト法律事務所
弁護士 坂口 靖
