起訴されたときにまず確認すべきこと
起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求める手続です。起訴されたからといって、その時点で有罪や実刑が決まるわけではありません。ここから先に、公判、証拠調べ、弁論、判決という手続が続いていきます。
起訴後に大切なのは、通常の公判請求なのか略式命令請求なのか、身柄拘束が続いているのか、保釈を検討できる段階なのか、公判で何を争うのかを整理することです。起訴前とは違い、ここからは裁判への備えと身柄の見通しを並行して考える必要があります。
突然、起訴されたと聞くと、多くの方は、もう有罪が決まったのではないか、この先どうなるのか、実刑になるのか、家族として何を考えればよいのかと強い不安を抱えます。
もっとも、起訴はそれ自体が有罪判決を意味するものではありません。起訴とは、事件が裁判所で審理される段階に進んだという意味であり、ここから先に公判や判決の手続が続いていきます。
そのため、起訴されたあとに大切なのは、必要以上に悲観することではなく、いま何が始まったのか、今後どのような流れになるのか、身柄はどうなるのか、何を優先して整理するべきかを把握することです。
このページでは、起訴とは何か、不起訴との違い、起訴の種類、公判の流れ、起訴後の勾留と保釈、ご家族が知っておきたいことを順番に整理します。
起訴とは何か
起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求めることです。検察官が起訴状を裁判所に提出すると、刑事裁判の手続が始まります。それまで被疑者と呼ばれていた立場は、起訴されると被告人へと変わります。
したがって、起訴とは、事件が終わったという意味ではありません。裁判所で審理される段階に入ったという意味であり、ここで初めて、裁判所が有罪か無罪か、有罪であればどのような刑にするのかを判断することになります。
起訴された直後は不安が大きくなりやすいですが、まずは起訴状の内容、身柄の状況、今後の公判の見通しを確認することが重要です。
起訴と不起訴の違い
起訴と不起訴は、その後の流れを大きく分ける判断です。不起訴であれば、その事件は刑事裁判に進みません。これに対し、起訴されると、裁判所で公判が開かれ、証拠を踏まえて審理が進み、最後に判決が言い渡されます。
そのため、起訴された場合には、不起訴を目指す段階とは考えるべきことが変わります。起訴前は取調べ、示談、不起訴の見通しが大きなテーマになりやすいのに対し、起訴後は、公判への備え、身柄の問題、保釈、判決までの流れがより重要になります。
不起訴について確認したい方は、不起訴のページもあわせてご覧ください。
起訴されたら、もう有罪が決まっているのか
起訴されたからといって、有罪が確定しているわけではありません。起訴は裁判を始めるための手続であり、有罪か無罪かは、公判で取り調べられた証拠をもとに裁判所が判断します。
もっとも、起訴に至っている以上、検察官は、裁判所に審理を求めるだけの理由があると考えていることになります。そのため、起訴後は、何が争点になるのか、どの証拠が重要なのか、どのような方針で公判に臨むのかを整理することが重要です。
事実関係を争う事件なのか、事実関係は認めたうえで量刑が主な問題になる事件なのかによって、準備すべき内容は変わります。
起訴にはどのような種類があるのか
起訴といっても、いつも同じ形で裁判が進むわけではありません。一般にイメージされやすいのは、公判請求と呼ばれる通常の起訴で、公開の法廷で審理が行われます。
これに対し、一定の事件では、略式命令請求という手続が問題になることがあります。これは、簡易裁判所が扱う一定の事件について、公開の法廷を開かず、書面審理で罰金や科料を科すための手続です。
ただし、略式手続によるためには、被疑者が略式手続について説明を受け、異議がないことを明らかにする必要があります。起訴されたと聞いたときには、通常の公判請求なのか、略式手続なのかを整理することが大切です。
略式命令を受けるかどうかは慎重に考える必要があります
略式手続は、公開の法廷に出廷せずに手続が進むため、早く終わるように見えることがあります。しかし、略式命令で罰金刑が確定すれば、前科が付くことになります。
そのため、事実関係に争いがある場合や、そもそも犯罪が成立するか疑問がある場合には、略式手続に同意するかどうかを慎重に考える必要があります。
また、略式命令を受けた後でも、告知を受けた日から14日以内であれば正式裁判の請求ができます。もっとも、正式裁判を求めるべきかどうかは、事実関係、証拠、刑の見通しなどを踏まえて検討する必要があります。
公判請求された後の流れ
公判請求されると、刑事裁判の第一審手続が始まります。まずは冒頭手続が行われ、裁判官による本人確認、検察官による起訴状の朗読、裁判官からの黙秘権の告知、そして被告人や弁護人の言い分の確認が行われます。
その後、証拠調べ手続に進み、検察官と被告人側がそれぞれ証拠を提出し、証人尋問や被告人質問などが行われます。
さらに、検察官の論告・求刑、弁護人の弁論、被告人の最終陳述といった手続を経て、最後に裁判所が判決を言い渡します。
事件に争いがあるのか、事実関係を認めているのかによって、公判の回数や進み方は変わります。争いのない事件では比較的短い回数で終わることもありますが、否認事件や証人尋問が必要な事件では、複数回の期日が開かれることがあります。
起訴状には何が書かれているのか
起訴状には、被告人を特定するための事項、公訴事実、適用される罰則などが記載されます。公訴事実とは、検察官が、被告人がどのような犯罪をしたとして裁判所に審理を求めているのかという中身です。
もっとも、起訴状には、裁判官が予断を持つような事項を書いたり、証拠を添付したりすることはできません。
起訴後は、この起訴状の内容を踏まえながら、何を認め、何を争い、どこが重要な論点になるのかを整理していくことになります。
起訴後も身柄が続くことはあるのか
起訴されたあとも、被告人について勾留が続くことがあります。起訴後の勾留は、捜査段階の被疑者勾留とは別で、被告人勾留として扱われます。
身柄が続くと、仕事や家庭への影響がさらに大きくなりやすいため、今後の見通しを考えるうえで重要な問題になります。
被告人勾留は一定期間ごとに更新が問題になりますが、起訴されたから当然に最後まで身柄が続くわけではありません。起訴後には、保釈を請求することができる場面が出てきます。
勾留について確認したい方は、勾留のページも参考になります。
保釈とは何か
保釈とは、起訴後に勾留されている被告人について、一定額の保証金を納めることなどを条件に、身柄を釈放する制度です。起訴前の段階では保釈は問題になりませんが、起訴後は重要なテーマになります。
保釈が認められるかどうかは、事件の内容や、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれなどとの関係で判断されます。制度上、一定の場合には原則として保釈が認められる類型があり、それ以外でも事情に応じて裁判所の判断で認められることがあります。
身柄が続いている事件では、いま保釈を考える段階なのか、どのような事情が重要なのかを整理することが大切です。保釈の基本は、保釈のページもあわせてご覧ください。
起訴後に考えるべきこと
起訴後に大切なのは、ただ不安を抱え続けることではなく、何が争点になるのか、どの証拠が重要なのか、どのような見通しがあるのかを整理することです。
起訴前とは違い、公判でどのように対応していくのかという視点が必要になります。事実関係を争うのか、罪名や法的評価を争うのか、事実関係は認めたうえで刑の重さを中心に検討するのかによって、準備する内容は変わります。
また、事件によっては、起訴後も示談や被害回復が意味を持つことがあります。すでに裁判になっているから何もできないということではなく、今の段階で何ができるのかを見ていく必要があります。示談について確認したい方は、示談のページもご覧ください。
公判で量刑が問題になる場合
事実関係に争いがない事件でも、公判で何も準備しなくてよいわけではありません。有罪を前提にした場合でも、どのような刑が相当か、執行猶予が付く可能性があるか、再発防止策や生活環境をどう整えるかが重要になることがあります。
被害者がいる事件では、示談や被害弁償、謝罪の状況が問題になることがあります。また、薬物事件、交通事件、性犯罪、暴力事件などでは、再発防止策や治療、通院、家族の監督体制が意味を持つこともあります。
起訴後は、単に裁判を待つのではなく、判決に向けてどのような事情を裁判所に伝えるべきかを整理することが大切です。
ご家族が知っておきたいこと
ご家族としては、起訴されたと聞いた瞬間に、もう終わりだと感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、起訴は裁判が始まるという意味であって、その時点で判決が出ているわけではありません。
だからこそ、今後の期日、身柄の状況、保釈の可能性、生活への影響を順番に整理することが重要です。
また、身柄事件では、ご本人と自由に連絡が取りにくいこともあります。そのような場面では、いま何が進んでいるのか、次に何を確認すべきかを外から整理することが大切です。
家族の立場での初動対応は、家族が逮捕されたらも参考になります。
起訴の段階で弁護士に相談する意味
起訴後は、取調べ段階とは違う意味で、弁護士の役割が大きくなります。起訴状の内容をどう見るか、公判で何を争うのか、保釈をどう考えるのか、示談や生活面への対応をどう整理するのかなど、考えるべき点が多くあるからです。
また、起訴された事件でも、すべてが同じように進むわけではありません。争いのある事件なのか、事実関係に争いはないが量刑が主なテーマになる事件なのかによっても、対応の重点は変わります。
弁護士を自分で選んで依頼したい場合には、私選弁護人のページもあわせてご覧ください。
起訴後対応で弁護士坂口靖が大切にしていること
起訴後は、不起訴を目指す段階とは考えるべきことが変わります。大切なのは、起訴されたという事実だけにとらわれず、これからの裁判で何が問題になるのかを具体的に整理することです。
当事務所では、まず起訴状の内容、身柄の状況、公判請求か略式命令請求か、保釈を検討できるか、示談や被害回復を進める余地があるかを確認します。
そのうえで、事実関係を争う事件なのか、法律上の評価が問題になる事件なのか、量刑が主なテーマになる事件なのかを見極めます。事件の性質によって、公判で準備すべき証拠や主張は変わります。
また、ご本人やご家族が一番不安に感じていることが、実刑の可能性なのか、保釈なのか、仕事や家庭への影響なのか、被害者対応なのかによって、優先すべき対応も変わります。
起訴後の弁護では、裁判の見通しだけでなく、生活の立て直し、再発防止、家族の支援体制、被害者対応などを含めて、判決までに何を整えるべきかを一つずつ確認することを大切にしています。
当事務所では、これまで対応してきた刑事事件の一部を解決実績として掲載しています。結果は事案ごとに異なりますが、相談前に具体的な対応例を確認したい方は、あわせてご覧ください。
起訴後に大切なのは、悲観だけで止まらないことです
起訴という言葉には重みがあり、聞いた直後は強い不安に包まれるのが自然です。しかし、起訴は、そこで結論が出たという意味ではありません。
公判の流れ、争点、保釈、示談、生活への影響など、ここから先に考えるべきことが続いていきます。大切なのは、起訴されたという事実だけで先を決めつけず、今どの段階にあり、何を優先して整理するべきかを見極めることです。
その積み重ねが、その後の見通しを考える土台になります。第一審判決後の対応について知りたい方は、控訴のページも参考になります。
起訴に関するよくあるご質問
Q 起訴とは何ですか
A 起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求めることです。起訴状が提出されると刑事裁判の手続が始まり、被疑者は被告人となります。
Q 起訴されたら、もう有罪が決まっているのですか
A そのようにはいえません。起訴は裁判を始めるための手続であり、有罪か無罪かは公判で取り調べられた証拠をもとに裁判所が判断します。
Q 起訴と不起訴は何が違うのですか
A 不起訴は検察官が事件を裁判にかけない判断であり、刑事裁判には進みません。これに対し、起訴されると裁判所で公判や判決の手続が進んでいきます。
Q 起訴にはどのような種類がありますか
A 一般的な公判請求のほか、一定の事件では略式命令請求が問題になります。略式手続は、簡易裁判所が扱う一定の事件について、公開の法廷を開かずに書面審理で進む手続です。
Q 略式命令を拒否して正式裁判を求めることはできますか
A 略式手続は、被疑者が異議がないことを明らかにする必要があります。また、略式命令を受けた後でも、告知を受けた日から14日以内であれば正式裁判の請求ができます。ただし、正式裁判を求めるべきかどうかは、証拠関係や刑の見通しを踏まえて慎重に検討する必要があります。
Q 起訴後の裁判はどのように進みますか
A 公判では、本人確認、起訴状の朗読、黙秘権の告知、被告人や弁護人の意見の確認が行われます。その後、証拠調べ、被告人質問、検察官の論告・求刑、弁護人の弁論、被告人の最終陳述を経て、最後に判決が言い渡されます。
Q 起訴後も勾留が続くことはありますか
A はい。起訴後も、被告人について勾留が続くことがあります。ただし、起訴後には保釈を請求できる場面が出てきますので、身柄が続いている場合には保釈の見通しも重要になります。
Q 保釈とは何ですか
A 保釈とは、起訴後に勾留されている被告人について、一定額の保証金を納めることなどを条件に、身柄を釈放する制度です。起訴前ではなく、起訴後に問題となる制度です。
Q 起訴された後でも示談は意味がありますか
A あります。起訴後でも、事件によっては示談や被害回復が今後の見通しを考えるうえで意味を持つことがあります。裁判になったから何もできないというわけではありません。
Q 起訴の段階で弁護士に相談する意味はありますか
A あります。起訴状の内容、公判での争点、保釈の可能性、示談や生活面への対応など、起訴後に整理すべきことは多くあります。今の段階に応じた見通しを立てることが大切です。

千葉で刑事事件のご相談に対応しています。逮捕、取調べ、示談、不起訴、早期釈放など、事件の状況に応じて必要な対応を一緒に整理します。
