千葉県内の刑事事件で被害者がいる場合、示談は、事件によって生じた損害への対応や謝罪について、被害者側と話し合い、合意できるかを確認する手続です。示談が成立したことは、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判所が刑を判断する際に考慮される事情の一つになります。
ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になる、身柄が解放される、刑が軽くなるというものではありません。事件の内容や証拠、被害の程度、事件後の対応なども合わせて確認されます。示談は、被害者がいる事件について本人・家族ができる対応の一つですが、それだけで結果が決まるわけではないという前提を、まず押さえておいてください。
示談で話し合う内容
示談は、示談金の支払いだけを指す言葉ではありません。謝罪の方法、支払時期、今後連絡をしないこと、再発防止の内容なども話し合いの対象になります。相手方が重視することは事件によって異なり、金額よりも、今後接触されないことや、同じ問題を繰り返さないことを重視する場合もあります。
被害弁償の金額を考えるときは、治療費や修理費など実際にかかった損害だけでなく、事件の性質、被害の程度、当事者同士の関係性も踏まえて検討します。相場を先に決めてから当てはめるのではなく、事件ごとの事情を確認しながら、相手方が納得できる内容を探る作業になります。
本人の資力によっては、希望する金額をすぐに用意できない場合もあります。その場合は、分割払いを提案する、支払時期を分けるなど、実際に履行できる範囲で条件を組み立てていきます。
刑事手続全体の流れは「刑事手続の流れ」で、不起訴に向けた考え方は千葉で不起訴を目指す方へのページでご確認いただけます。
弁護士を通じて進める理由
被害者の連絡先は、捜査段階では本人や家族へそのまま伝えられないことがあります。弁護士から捜査機関に連絡の取次ぎを依頼し、被害者側が話し合いに応じる意向を示した場合などに、連絡方法を調整していきます。相手方に代理人弁護士がいる場合は、その弁護士を通じて連絡します。
まず、相手方が話し合いに応じる意向があるかを確認します。応じる意向があれば、謝罪の方法や被害弁償の金額、支払方法について、こちらの提案を伝え、相手方の意向を聞きながら条件をすり合わせていきます。
相手方が話し合いを望まない場合は、示談は成立しません。その場合でも、被害弁償の受領を拒否された場合など、法律上の要件を満たすときには、被害弁償金を法務局へ供託できることがあります。また、示談を求めて何度も接触を試みないことも大切です。
交渉の過程では、提案内容や相手方からの回答を書面やメールで記録に残しておきます。口頭でのやり取りだけに頼ると、後になって「言った」「言わない」という争いが生じることがあるためです。支払方法についても、振込先や振込日をあらかじめ具体的に決めておきます。
被害者へ直接連絡することについて
本人や家族が謝罪のつもりで被害者へ直接連絡すると、かえって相手に不安や負担を与えることがあります。特に性犯罪、盗撮、つきまとい、暴行・傷害、交際関係のトラブルが背景にある事件では、連絡そのものが問題になりやすいため注意が必要です。
何度も連絡すること、事件についての説明を求めること、相手の連絡先を無理に調べることは避けてください。逮捕・勾留中で接見禁止が付いている場合、家族が被害者と直接やり取りすること自体が、身柄拘束を続ける理由として扱われることもあります。弁護士を通じて連絡する場合も、まず相手方の意向や連絡方法を確認して進めます。
まず、相手方の意向をどのような方法で確認するかを弁護士との間で検討します。相手方がすぐに話し合いに応じない場合もあり、その際は返事を急がせず、謝罪文や被害弁償の準備など、こちらで用意できることを整えて待つことになります。
実行できない約束はしません。一括で支払うのか、分割を相談するのか、支払期限をどうするのかは、具体的に決めておく必要があります。
示談書に残す内容
話し合いがまとまる場合、合意した内容は示談書として書面に残します。口頭だけでは、後から双方の認識がずれることがあります。
| 確認する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 謝罪 | 謝罪の方法、謝罪文を渡すかどうか |
| 被害弁償 | 損害の内容、支払う金額 |
| 支払方法 | 一括・分割、支払期限、振込方法 |
| 接触禁止 | 今後の連絡、接近、SNSでの接触を避ける約束 |
| 再発防止 | 生活環境の見直しや必要な支援 |
| 示談書 | 合意した内容、刑事処分に関する相手方の意向 |
清算条項は、この示談で対象となる民事上の請求関係を解決するための条項です。どの範囲まで解決するのかが分かるように定めます。宥恕文言、つまり被害者が加害者を許すことや処罰を望まないことなどを示す文言は、相手方が望まない場合に当然入れられるものではありません。ひな形に書かれているからという理由だけで条項を入れず、事件と合意内容に合っているかを確認します。
示談書は、こちらの手元に残すだけの書面ではありません。検察官の処分判断や裁判所の量刑判断のために、捜査機関や裁判所へ提出することがあります。どの範囲を提出するか、原本を提出するのか写しでよいのかも、事件に応じて検討します。
手続の段階によって意味が変わる
示談は、逮捕前、在宅捜査中、逮捕・勾留中、起訴後のいずれの段階でも検討できます。段階によって、示談を急ぐ理由や進め方は変わってきます。
在宅捜査中であれば、検察官が処分を決めるまでにある程度の時間があるため、相手方の意向を待ちながら準備を進めることができます。これに対して逮捕・勾留中は、身柄拘束の期間に限りがあるため、限られた時間の中で相手方への連絡と条件のすり合わせを進める必要があります。
逮捕・勾留中であれば、被害者との接触を防ぐ環境が整ったことなどとあわせて、身柄に関する判断で考慮される場合もあります。ただし、示談が成立したことだけで釈放が決まるわけではありません。身柄解放に向けた対応については千葉で釈放・保釈を求める方へのページをご確認ください。
起訴前であれば、犯罪後の対応として検察官の処分判断に関係する場合があります。起訴後の示談は不起訴にはつながりませんが、被害回復や被害者側の意向として、量刑判断で考慮されることがあります。事実関係を争っている事件では、本人の説明と示談の内容が矛盾しないかも、あわせて確認しておく必要があります。
ご相談の際は、事件の内容、現在の手続段階、被害者との関係、これまでに連絡したかどうか、警察から伝えられた内容を、分かる範囲でお話しください。
示談の成立や刑事処分の結果を保証することはできません。それでも、被害者への向き合い方や交渉の進め方によって、示談が成立するかどうか、また成立した内容が処分判断でどう評価されるかは変わってきます。事件の状況を確認したうえで、現実的に進められる方法を一緒に考えていきます。
