刑事事件で「示談」という言葉を聞くと、示談さえできればすべて解決するのではないか、逆に示談ができなければもう厳しいのではないかと、不安が大きくなりやすいと思います。もっとも、示談は非常に重要な場面がある一方で、意味を広く考えすぎたり、逆に金額だけの問題だと受け止めたりすると、対応を誤りやすいテーマでもあります。
示談は、被害者側と加害者側が、謝罪、損害賠償、今後の関わり方などについて合意することを指す場面が多く、刑事事件では、その成立の有無や内容が、その後の見通しに関わることがあります。ただし、示談は刑罰そのものではなく、示談が成立したから当然に不起訴になるわけでもありません。まずは、今の事件の中で示談がどのような意味を持つのかを落ち着いて整理することが大切です。
このページでは、示談とは何か、どの段階で問題になりやすいのか、示談金だけで決まるものではないこと、起訴後の示談にも意味があること、そして示談を進めるうえで気をつけたい点を整理します。
示談とは何か
刑事事件でいう示談は、一般に、事件に関する損害賠償や謝罪、再発防止の約束などについて、被害者側と加害者側が話し合って合意することをいいます。合意の内容は事件によってさまざまで、金銭の支払いだけでなく、接触を控えること、一定の行為をしないこと、今後の連絡方法をどうするかなどが含まれることもあります。
そのため、示談は単にお金を払えば終わるというものではありません。被害の内容、相手方の受け止め方、今の手続の段階、こちらの対応姿勢などを踏まえながら、何をどう整えるべきかを考える必要があります。
示談が問題になるのはどの段階か
示談は、逮捕前の段階でも、在宅事件でも、逮捕後でも、起訴後でも問題になることがあります。早い段階で示談が大きな意味を持つ事件もありますし、すでに裁判になっている事件でも、示談が無意味になるわけではありません。
実際には、いま捜査の初期段階なのか、勾留が問題になっているのか、起訴前なのか、起訴後なのかによって、示談の位置づけは変わります。刑事手続全体の流れを確認したい方は、刑事手続に関する弁護もあわせてご覧ください。
示談が成立すれば、それだけで不起訴になるのか
そのようにはいえません。起訴するか不起訴にするかは、最終的には検察官が判断します。事件の内容、証拠関係、犯行後の事情などを踏まえて判断されるため、示談が成立したことだけで結論が自動的に決まるわけではありません。
もっとも、示談の成立や被害回復、被害者側の意向は、犯行後の事情として見通しを考えるうえで無視できない要素になり得ます。だからこそ、示談は軽く見てよいものでも、逆に示談だけにすべてをかければよいものでもなく、事件全体の中で意味を見ていく必要があります。
示談は示談金だけで決まるものではありません
示談というと、いくら支払うかだけが問題のように受け止められることがあります。しかし実際には、謝罪をどう受け止めてもらうのか、どのような条件で合意をまとめるのか、支払方法をどうするのか、今後は接触を避けるのかなど、金額以外の点も重要です。
また、相手方が金額だけで判断するとは限りません。事件の態様や被害感情によっては、話し合いの進め方そのものが問われることもあります。そのため、示談金の額だけを先に考えるよりも、何が合意の中心になるのかを整理することが大切です。
示談は相手方の同意がなければ成立しません
示談は話し合いによる合意ですから、こちらが望めば必ず成立するものではありません。被害者側が話し合いを望まないこともありますし、すぐには話合いに入れないこともあります。
そのため、示談ができるかどうかは、事件の種類や相手方の意向、現在の手続の進み方を踏まえて考える必要があります。成立しなかったことだけを見て悲観しすぎるのではなく、今の時点で何ができるのかを整理することが重要です。
起訴後の示談にも意味はあります
示談は起訴前だけの問題ではありません。すでに起訴された事件でも、示談が成立することがあります。裁判になったあとでも、被害回復や合意の成立は、事件全体の中で見通しを考える材料になり得ます。
また、公判中に示談が成立した場合には、被告人と被害者側が共同で申し立てることによって、その内容を刑事裁判の公判調書に記載してもらえる制度があります。公判調書に記載されると、民事裁判で和解ができたのと同じ効力が生じるため、約束どおり支払われない場合には、改めて民事裁判を起こさなくても強制執行を申し立てられることがあります。
ご家族が示談を考える場面
逮捕や勾留がされている事件では、ご本人が自由に動けないため、ご家族が示談のことを気にされる場面が少なくありません。ただ、気持ちが先に走ってしまうと、今本当に示談を考える段階なのか、何を優先して整理すべきかが見えにくくなることがあります。
ご家族として大切なのは、まず現在の手続の段階を把握し、何が争点になっているのかを整理することです。初動対応を確認したい方は、家族が逮捕された方へも参考になります。
示談を進める際に弁護士に相談する意味
示談は、感情面への配慮と法的な整理の両方が必要になる場面です。相手方にどう向き合うか、どのような条件で合意をまとめるか、今の段階で示談を優先すべきかどうかは、事件によって違います。
また、示談はそれ自体がゴールではなく、その後の不起訴の見通し、勾留や釈放、起訴後の対応とも関わります。だからこそ、いきなり結論を急ぐのではなく、今の事件全体の中で示談の意味を整理することが大切です。弁護士選任を考えている方は、私選弁護人とはもご覧ください。
示談で大切なのは、焦って結論だけを追わないことです
刑事事件では、示談が大きな意味を持つことがあります。しかし、示談という言葉だけが一人歩きすると、示談さえできればよい、できなければ終わりだという極端な考え方になりやすくなります。
実際には、今どの段階なのか、相手方の意向はどうか、どのような条件を整えるべきか、示談以外に何を並行して考えるべきかを順番に整理することが重要です。示談を考えている方は、現在地を見極めながら、落ち着いて対応を整えていくことが大切です。
示談に関するよくあるご質問
示談とは何ですか
刑事事件でいう示談は、一般に、事件に関する損害賠償、謝罪、再発防止の約束などについて、被害者側と加害者側が話し合って合意することをいいます。金額だけでなく、今後の関わり方まで含めて整理されることもあります。
示談が成立すれば必ず不起訴になりますか
必ずそうなるわけではありません。起訴するか不起訴にするかは最終的に検察官が判断します。ただし、示談の成立や被害回復は、事件全体の見通しを考えるうえで無視できない事情になり得ます。
示談はどの段階で問題になりますか
示談は、逮捕前、在宅事件、逮捕後、起訴後のいずれの段階でも問題になることがあります。今どの段階にあるかによって、示談の意味や進め方は変わります。
示談はお金を払えば成立するのですか
そのようにはいえません。示談は金額だけで決まるものではなく、謝罪の受け止め方、支払方法、今後は接触しないことをどう整理するかなど、さまざまな条件が問題になります。
相手が応じてくれなければ示談はできませんか
はい。示談はあくまで合意ですので、相手方が話し合いを望まない場合や、すぐにはその段階に入れない場合には成立しません。成立しないことだけを見て結論を急がず、今できる対応を整理することが大切です。
起訴された後の示談にも意味はありますか
あります。起訴後でも示談が成立することはありますし、公判中に成立した示談は、一定の場合に共同申立てによって公判調書に記載してもらうことができます。その場合、民事裁判で和解したのと同じ効力が生じます。
家族が示談について相談することはできますか
はい。逮捕や勾留で本人が自由に動けない場面では、ご家族がまず相談して、現在の段階や今後の進め方を整理することには意味があります。ただし、焦って結論だけを追わず、まず今の状況を把握することが大切です。
示談の段階で弁護士に相談する意味はありますか
あります。示談は、相手方への向き合い方、合意内容の整理、今の段階で優先すべきことの見極めが重要になる場面です。示談だけでなく、その後の手続や見通しまで含めて整理するためにも、早めに相談する意味があります。

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