傷害事件では、「けががある」という一点だけで結論が決まるわけではありません。 診断書の内容や治療状況、暴行とけがとの関係まで確認する必要があります。
警察から連絡があった方や、ご家族が逮捕された方に向けて、 傷害事件で実際に問題になる点を順番に説明します。
傷害事件として扱われるのはどのような場合か
傷害事件は、暴行などによって相手に傷害結果が生じた場合に問題となります。 暴行事件との大きな違いは、相手に実際のけがや身体機能の障害が生じたかどうかです。
同じように押した、殴ったという行為でも、 相手に傷害結果が生じれば傷害事件として捜査されることがあります。
ただし、診断書が提出されたというだけで、 直ちに傷害罪が成立すると決まるわけではありません。 けがの内容や原因を、ほかの証拠と合わせて確認します。
けがが生じていない事件については、 千葉の暴行事件の解説 をご覧ください。
診断書と治療内容をどう確認するか
傷害事件では、診断書は大切な資料です。 傷病名、治療期間、診察日、治療内容などを確認します。
もっとも、診断書に書かれた治療期間だけで、 事件の重さや暴行との関係がすべて決まるわけではありません。
実際には、いつ受診したのか、どのような治療を受けたのか、 事件前から同じ症状がなかったかといった点も見ます。
| 確認する事項 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 傷害結果 | どのようなけがや身体機能の障害が生じたのか |
| 診断書 | 傷病名、診察日、治療期間、作成時期 |
| 治療内容 | 通院状況、処置内容、投薬、経過 |
| 因果関係 | 今回の暴行とけがとの間につながりがあるか |
| 確認する証拠 | 診断書、写真、防犯カメラ、目撃者、LINEなど |
暴行とけがとの関係が争われる場合
傷害事件では、暴行があったかだけでなく、 その暴行によって今回のけがが生じたのかが問題になることがあります。
たとえば、相手が転倒した経緯や、 以前から同じ症状があったかどうかによっては、 因果関係を詳しく確認する必要があります。
診断書だけでは分からない場合も少なくありません。 防犯カメラ、現場写真、目撃者の話、事件前後のやり取りも確認します。
率直に言うと、この部分は、実際の資料を見なければ判断できません。 本人の説明と客観的な証拠を分けて整理することが大切です。
逮捕・勾留を避けるために確認する事情
傷害事件だからといって、必ず逮捕・勾留されるわけではありません。 在宅のまま捜査が進む事件もあります。
身柄拘束の判断では、逃亡や証拠隠滅のおそれ、 被害者への接触、住居、出頭状況などが確認されます。
暴行の内容が重い場合や、被害者への接触が続いている場合には、 身柄拘束の必要性を判断する事情になることがあります。
証拠を消したり、被害者へ繰り返し連絡したりする行為は避けてください。 不安がある場合は、動く前に対応方法を確認した方がよいでしょう。
逮捕された後の手続については、 逮捕後の流れ で説明しています。
傷害事件への対応の流れ
治療費・慰謝料・示談への対応
被害者が治療を受けている場合には、 治療費、慰謝料、休業に関する損害などが問題になることがあります。
ただし、相手から請求された金額を、 内容を確認せずそのまま支払えばよいわけではありません。 治療内容やけがとの関係を確認したうえで検討します。
ご本人が直接連絡すると、謝罪のつもりでも、 相手に不安や圧力を与えることがあります。 連絡を拒否されている場合は、無理に接触しないでください。
示談や被害回復は、その後の処分を判断する際に考慮される事情の一つです。 ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になるわけではありません。
示談の進め方については、 刑事事件の示談について をご覧ください。
弁護士が証拠と経緯をどう整理するか
傷害事件では、一つの資料だけで結論を出すことはありません。 診断書、防犯カメラ、写真、LINE、目撃者、本人の説明を時系列で確認します。
そのうえで、暴行の内容、けがの発生時期、 治療内容、事件後のやり取りに矛盾がないかを見ます。
本人に不利な事情がある場合も、隠さず確認します。 その事情を含めて、取調べや被害者対応をどう進めるかを考えます。
暴力犯罪全体について確認したい方は、 千葉の暴力犯罪の解説 もご覧ください。
相談を検討する具体的な段階
警察から連絡を受けたとき、家族が逮捕されたとき、 診断書の内容に疑問があるときは、相談を検討する段階です。
被害者への連絡や示談を考えている場合も、 ご本人が直接動く前に進め方を確認した方がよいことがあります。
依頼するかどうかは、相談した後に決めていただいて構いません。
弁護士によって、診断書や因果関係に対する見方が異なる場合もあります。 複数の弁護士へ相談し、説明に納得できる弁護士を選んでいただければと思います。
