交通事故で人にけがをさせた場合は、過失運転致死傷罪が問題になることがあります。ただし、けがをさせたという結果だけで、運転者の刑事責任が決まるわけではありません。
信号、速度、相手の動き、見通しなどを確認し、運転者がどのような注意をすべきだったのかを見ます。事故直後の説明と、ドライブレコーダーなどの記録を照らすことも必要です。
人身事故では、事故原因とけがとの関係を確認します
過失運転致死傷罪では、自動車の運転上必要な注意を怠り、その結果として人を死傷させたかが問題になります。
前方を見ていなかった、信号を見落とした、安全確認が足りなかったという事情が検討されます。ただし、警察から指摘された言葉だけで、過失の内容が決まるものではありません。
道路の形状、天候、見通し、相手の動きも確認します。相手にも注意不足があったという事情は、民事上の過失割合だけでなく、運転者が事故を避けられたかを考える材料になる場合があります。
けがについては、事故によって生じたものかを確認します。事故前からの症状や、事故後の治療経過が問題になることもあります。
事故原因は一つの言葉だけで決められません
交通事故では、複数の事情が重なっていることがあります。たとえば、見通しの悪い交差点で相手の発見が遅れ、ブレーキが間に合わなかったという場合です。
「前方不注視だった」と認める前に、どの時点で相手を発見できたのかを確認します。制限速度を超えていた場合も、その速度と事故との関係を見なければなりません。
| 指摘される原因 | 主に確認すること | 主な証拠 |
|---|---|---|
| 前方不注視 | どこを見るべきで、いつ相手を発見できたか | 映像、実況見分、道路の見通し |
| 速度超過 | 実際の速度と、事故回避への影響 | 車載データ、映像、鑑定資料 |
| 信号・標識の見落とし | 信号表示、標識の位置、双方の進行方向 | 防犯カメラ、目撃者、信号の記録 |
| 安全確認の不足 | 交差点や横断歩道で行った確認の内容 | 実況見分、図面、当事者の説明 |
実況見分では、記憶と違う点をそのままにしません
警察は、事故現場の道路状況、車両の位置、見通しなどを確認します。運転者が危険を感じた地点や、ブレーキをかけた地点を尋ねられることもあります。
記憶が曖昧であれば、無理に距離や速度を断定する必要はありません。分からないことを推測で答えると、後から映像や車両データと食い違う場合があります。
実況見分や取調べの内容が、自分の認識と違う場合は、その場で伝えてください。供述調書へ署名する前にも、話した内容が正しく記載されているかを読みます。
ドライブレコーダー、防犯カメラ、車両の損傷、ブレーキ痕、車載データなども確認されます。映像は事故の瞬間だけでなく、事故前後の運転まで見ることが必要です。
映像を削除したり、車両を確認しないまま処分したりしないでください。すでに修理した場合は、修理前の写真や見積書を保管します。
逮捕される場合と在宅で捜査される場合があります
人身事故後の主な確認
- 警察から伝えられた事故内容を記録する
- 映像、車両データ、修理資料を保存する
- 事故原因と双方の動きを時系列にする
- 実況見分と取調べへの対応を確認する
- 被害者対応と保険会社の進捗を確認する
人身事故でも、逮捕される場合と、在宅のまま捜査が進む場合があります。死亡事故や重いけがの事故であっても、事件名や結果だけで身柄の扱いは決まりません。
住居や連絡先が明らかか、警察の呼び出しに応じているか、車両や記録を隠すおそれがあるかなどが確認されます。
事故後に現場を離れた場合は、救護や警察への報告についても問題になります。詳しくは、千葉のひき逃げ・当て逃げ・危険運転事件をご確認ください。
任意の呼び出しであっても、準備をせずに取調べを受けるべきではありません。事故の記憶と客観的な資料を分けて確認します。
保険会社の示談と刑事事件は別に進みます
任意保険へ加入している場合は、保険会社が治療費や慰謝料などについて被害者と話し合います。しかし、保険会社の対応だけで、刑事事件が終わるわけではありません。
被害がどこまで回復されたか、謝罪をどのように行ったかは、処分を考える事情になる場合があります。ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になるとは言えません。
本人から被害者へ連絡する場合は、保険会社による連絡状況を確認します。謝罪のためであっても、相手が接触を望んでいないときに、何度も連絡することは避けてください。
保険会社が作成する示談書が、刑事手続で必要な内容を含んでいるとは限りません。刑事事件との関係で別の対応が必要かを確認します。
免許や仕事への影響は刑事処分と分けて考えます
交通事故では、刑事手続とは別に、運転免許の停止や取消しなどの行政処分が問題になる場合があります。刑事処分の結果だけで、行政処分が自動的に決まるわけではありません。
運転を仕事にしている方は、免許や勤務先への報告が生活に影響することがあります。ただし、事故を起こしたから直ちに解雇される、仕事を続けられないと断定することはできません。
死亡事故や重い後遺症が残る事故では、被害者や遺族への対応も慎重に考えます。本人や家族だけで連絡を進めず、保険会社の対応と刑事事件の方針を確認します。
交通犯罪全体の違いは、千葉の交通犯罪のページで案内しています。
実況見分を控えている、警察から呼び出された、相手の診断内容が変わった、示談の進め方に迷っているという段階では、相談を検討してください。複数の弁護士から説明を受け、方針や費用を比較して決めても構いません。
