12/18new!【YouTube更新】(刑事弁護人)弁護士選びの注意点3点(人生の分岐点)

保釈について

保釈手続に関する刑事弁護のイメージ画像

保釈とは何か

聞いたことがある方も多い言葉だと思います。

「保釈」とは、
起訴された(刑事裁判が行われることが決まった)後にのみ認められる制度であり、
逃亡を防止するために保証金を裁判所に預けることを条件(裁判が無事終われば返還される)に、
その審級の判決が出されるまでの期間の身柄拘束を解いてもらう制度です。

簡単に言うと、裁判が終わる前に釈放してもらう制度です。

このような制度があるのは、
刑事裁判は「推定無罪」が原則であり、
本来、判決が出るまでは一般の人と同様に自由が認められるべきである
という考え方があるからだと思われます。

保釈の種類(権利保釈と裁量保釈)

保釈には大きく分けて、次の2つの類型があります(刑訴91条を除く)。

一つは権利保釈
もう一つは裁量保釈です。

権利保釈とは

権利保釈とは、次の①〜⑥のいずれにも該当しない場合には、
原則として保釈を認めなければならないとされているものです。

① 死刑、無期もしくは短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯したとき
② 前に、死刑、無期もしくは長期10年を超える懲役または禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
③ 常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯したとき
④ 罪証隠滅をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑤ 証人などになりうる者に害を加え、または畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑥ 氏名または住所が不明なとき

権利保釈が認められない具体例

例えば、

①については、殺人や強盗などの重大犯罪である場合
②については、重大犯罪の前科がある場合
③については、窃盗などを繰り返して行っている場合

などには、権利保釈は認められません。

④⑤については事案ごとに判断されますが、
不合理な否認をしている場合や、
逮捕前に証拠隠滅と評価されかねない行為がある場合には、
権利保釈が否定されることがあります。

裁量保釈とは

裁量保釈とは、
権利保釈を認めることができない場合に、
裁判官(裁判所)の裁量によって保釈を認める制度です。

多くの事件では、この裁量保釈が問題になります。

保釈請求は誰ができるのか

保釈を認めてもらうためには、保釈請求を行う必要があります。

保釈請求は、
被告人本人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹なども行うことができます。

もっとも、弁護人以外からの請求は、
却下されてしまう可能性が高いのが実情です。

このため、保釈を希望する場合には、
弁護士に依頼するのが現実的です。

国選弁護人と私選弁護人の考え方

国選弁護人であっても、依頼すれば通常は保釈請求をしてくれるはずです。
そのため、必ずしも最初から私選弁護人に切り替える必要はありません。

ただし、保釈で最も重要なのは、
弁護人が不利益な事実も含めて事件の全体像を正確に把握していることです。

不利益な事情へのフォローがないまま保釈請求を行うと、
「罪証隠滅のおそれがある」などとして、
保釈が却下される可能性が高くなります。

国選弁護人がほとんど接見に来ない場合や、
事件内容を十分に把握していないと感じられる場合には、
私選弁護人への切り替えを検討してもよいでしょう。

弁護士の動きが遅い場合の注意点

起訴前から保釈を依頼していたにもかかわらず、
起訴後すぐに保釈請求をしてくれないような場合には、
弁護士を変更することを検討してもよいケースがあります。

保釈されるか否かは、
有罪判決を受けるかどうかに匹敵するほど重要な問題です。

私選弁護人の選び方(保釈)

保釈請求については、
経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。

また、保釈が認められる場合には、
少なくとも150万円程度の保釈保証金が必要になるのが一般的です
(裁判が無事終われば全額返還されます)。

依頼者にとっては、
この保証金をできるだけ低額に抑えることが重要になります。

そのため、
裁判官ときちんと交渉してくれる弁護士であるかどうか
という点も重要な判断基準になります。

保釈保証金と成功報酬に関する注意

保釈請求に関して、
保釈保証金の20%程度を成功報酬とする契約を求める弁護士もいます。

しかし、このような契約では、
保証金額が高くなるほど弁護士の報酬も増えるため、
保証金を低額に抑える交渉をしない可能性があります。

このような契約形態の弁護士は、
あまりお勧めできません。

保釈保証金を準備できない場合の支援制度

多額の保釈保証金を準備できない方のために、
保釈保証金を融資してくれる団体があります。

融資手数料は、金額にもよりますが、
概ね5万円〜7万円程度です。

詳細については、
一般社団法人日本保釈支援協会のホームページをご確認ください。

なお、
この団体を利用する場合には保釈請求ができないと断る弁護士もいますが、
そのような対応は、依頼者の利益を十分に考慮したものとは言えません。

保釈制度について説明を求めた際に、
このような選択肢をきちんと説明しない弁護士への依頼は、
慎重に検討した方がよいでしょう。

千葉県弁護士会所属

プロスペクト法律事務所 弁護士 坂口靖

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