深夜に突然、見知らぬ酔った男性が自宅のドアを激しく叩き「出てこい!いるんだろ!」と叫ぶ──。弁護士ドットコムニュースには、このような恐怖体験をした一人暮らしの女性から相談が寄せられていました。
23時頃から自宅マンションのドアがガチャガチャと開けられ、インターホン越しに確認すると全く知らない男性。ドアを開けずに警察へ通報したところ、男性はその場から逃げたものの、建物付近で騒いでいるところを警察に発見されました。
相談者は「酔ったらまた来るかもしれない」と不安を抱え、引っ越しも検討している状況です。この記事は、私が取材を受けて回答した内容を元に、よりわかりやすく整理し直したものです。原文はこちらです。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_12278/
どのような犯罪が成立する可能性があるのか
建造物侵入罪が成立する場合がある
マンションの共用部分に無断で立ち入り、目的外の行動をした場合には、建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。
住居侵入未遂罪の可能性
酔った男性がドアを開けようとした行為は、「中に入ろうとした」と評価され、住居侵入未遂罪(刑法130条・132条)が成立し得ます。
迷惑防止条例違反の可能性
千葉県迷惑防止条例では、呼び鈴を使って不当に不安や迷惑を与える行為が禁止されています。今回のように深夜に執拗に騒ぎ、不安を与えた行為は、条例違反に該当する可能性があります。
ただし、酔って部屋を間違えた場合などは成立しないことも
相手が同じマンションの住人で、自宅と誤認したようなケースでは、建造物侵入や住居侵入未遂が成立しないことも考えられます。
ドアを殴られた行為は犯罪になるか
ドア自体が壊れていなければ、器物損壊罪に問うことは困難です。ただし、深夜にドアを叩き続け、強い恐怖を与える行為は、迷惑防止条例違反に該当する可能性が十分あります。
引っ越し費用は請求できるのか
法的には「1回の訪問だけでは難しい」
不安な気持ちは十分理解できますが、1度だけの深夜の訪問行為で、引っ越しの必要性・相当性を認めることは難しく、法律的には引っ越し費用の請求は困難です。
繰り返しの訪問があれば状況は変わる
複数回の訪問や執拗な迷惑行為が続く場合には、精神的苦痛や生活への支障が明確となり、引っ越し費用の請求が認められる可能性が出てきます。
刑事手続きに乗せることが重要
被害届を提出し、相手が刑事手続きに巻き込まれる状況になると、多くの加害者は処罰を避けたいと考え、自主的に謝罪や示談を申し出るケースが多くあります。示談交渉の中で、引っ越し費用を含めた話し合いが成立する可能性も十分にあります。
深夜の訪問や恐怖を感じた場合の正しい対応
まずは警察に通報する
相手が酔っている場合や、見知らぬ人物の場合は特に危険です。すぐに通報してください。
状況は必ず記録しておく
ドアの傷、騒ぎ声、ワンショットの映像など、記録は後の被害届や示談交渉に役立ちます。
マンションの管理会社にも報告する
建物内での安全管理の観点から、管理会社にも必ず連絡して対応を求めてください。
刑事事件や近隣トラブルに巻き込まれた方へ
突然の訪問や騒音のトラブルは、精神的にも大きな負担となります。刑事事件の可能性を見極め、必要であれば示談交渉を含めた総合的な対応が必要です。
私は千葉を拠点に、全国からのご相談に対応しています。今まさに不安な状況にある方は、どうかひとりで抱え込まずお気軽にご相談ください。
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千葉県弁護士会所属
プロスペクト法律事務所
弁護士 坂口 靖
