執行猶予とは、有罪判決を受けた場合でも、一定期間、刑の執行を猶予する制度です。
たとえば、「拘禁刑2年、執行猶予3年」という判決の場合、有罪判決ではありますが、判決確定後すぐに刑務所へ入るわけではありません。執行猶予期間中に再び犯罪をしないことなどが重要になります。
執行猶予と聞くと、「刑務所に行かなくて済むなら問題ない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、執行猶予は無罪ではありません。有罪判決であり、前科がつく点には注意が必要です。
また、執行猶予は、期間が終わるまで何も気にしなくてよい制度ではありません。期間中に再犯をした場合や、保護観察の遵守事項に重大な違反があった場合には、執行猶予が取り消されることがあります。
このページでは、千葉で刑事事件の判決や執行猶予について不安を感じている方やご家族に向けて、執行猶予の意味、実刑との違い、前科への影響、取消しのリスク、執行猶予を目指すために重要な事情を整理します。
執行猶予とは何か
執行猶予とは、有罪判決で刑を言い渡された場合に、一定期間、その刑の執行を猶予する制度です。
刑の執行が猶予されるため、判決確定後すぐに刑務所に入るわけではありません。社会の中で生活しながら、更生の機会を与えられる制度といえます。
ただし、執行猶予は無罪ではありません。裁判所が有罪と判断し、刑を言い渡したうえで、その刑の執行を猶予している状態です。
そのため、執行猶予付き判決を受けた場合には、前科がつくことになります。「刑務所に入らないから前科ではない」という理解は正確ではありません。
執行猶予と実刑の違い
実刑とは、有罪判決が確定した後、実際に刑務所などで刑の執行を受ける判決です。
これに対して、執行猶予付き判決では、判決確定後すぐに刑務所へ入るわけではありません。一定の猶予期間中、問題を起こさずに生活することが求められます。
同じ有罪判決でも、実刑か執行猶予かによって、その後の生活への影響は大きく変わります。仕事、学校、家庭生活、資格、社会復帰のしやすさを考えるうえでも、執行猶予を目指せるかどうかは重要な問題です。
もっとも、執行猶予が付いたからといって、事件が軽く扱われたということではありません。裁判所が、事件の内容や本人の事情を踏まえ、社会内で更生する機会を与えることが相当と判断した場合に問題になります。
執行猶予が付くための基本条件
執行猶予は、すべての有罪判決に付けられるわけではありません。
刑の全部の執行猶予については、言い渡される刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であることが基本的な条件になります。
また、前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがないこと、または前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日などから一定期間、拘禁刑以上の刑に処せられていないことが問題になります。
さらに、形式的な条件を満たしていても、必ず執行猶予が付くわけではありません。裁判所は、事件の内容、被害の程度、示談の有無、本人の反省、前科前歴、再発防止策、家族の監督体制などを総合的に見て判断します。
執行猶予期間はどのくらいか
刑の全部の執行猶予では、裁判が確定した日から1年以上5年以下の範囲で猶予期間が定められます。
判決では、「拘禁刑2年、執行猶予3年」のように、言い渡される刑と執行猶予の期間が示されます。猶予期間中に再び犯罪をしないこと、保護観察が付いている場合にはその遵守事項を守ることが重要になります。
執行猶予期間が終わるまでの間は、日常生活に戻れる一方で、再犯や条件違反による取消しのリスクがあります。
そのため、執行猶予付き判決が出た後も、「もう終わった」と考えるのではなく、生活環境を整え、再発防止を続けることが大切です。
執行猶予期間を無事に経過するとどうなるか
執行猶予が取り消されることなく猶予期間を経過した場合、刑の言渡しは効力を失います。
これは、猶予されていた刑を受ける必要がなくなるという意味で、執行猶予制度の重要な効果です。
もっとも、執行猶予期間を経過したからといって、有罪判決を受けた事実や、捜査・裁判に関する記録がすべて消えてなくなるわけではありません。
そのため、執行猶予期間を無事に終えることは非常に重要ですが、その後も同じ問題を繰り返さないよう、生活環境や再発防止策を維持することが大切です。
執行猶予と前科の関係
執行猶予付き判決でも、有罪判決であることに変わりはありません。そのため、前科がつきます。
「執行猶予なら前科にならない」と誤解されることがありますが、これは正確ではありません。刑務所に入るかどうかと、前科がつくかどうかは別の問題です。
前科は、有罪判決や略式命令による罰金などが確定した場合に問題になります。執行猶予付き判決も有罪判決であるため、前科として扱われます。
前科を避けたい場合には、裁判で執行猶予を目指すだけでなく、起訴前の段階で不起訴を目指せるかを検討することが重要です。
前科について詳しく知りたい方は、前科とはのページも確認してください。不起訴については、不起訴とはのページも参考になります。
執行猶予と不起訴の違い
執行猶予と不起訴は、まったく違います。
不起訴は、検察官が事件を裁判にかけない処分です。不起訴になれば、通常は刑事裁判に進まず、前科もつきません。
これに対して、執行猶予は、起訴された後、裁判で有罪判決を受けた場合に、刑の執行を猶予する制度です。刑務所に直ちに入らないとしても、有罪判決である以上、前科が問題になります。
そのため、前科を避けたい場合には、起訴前の段階で不起訴を目指せるかどうかが重要です。起訴後は、執行猶予を目指せるか、実刑を避けるためにどのような事情を整えるかが問題になります。
執行猶予と罰金の違い
執行猶予は、刑の執行を一定期間猶予する制度です。一方、罰金は、金銭を納付する刑罰です。
罰金で終わる場合、刑務所に入ることは通常ありません。しかし、罰金も刑罰であり、略式命令による罰金が確定した場合には前科となります。
執行猶予付き判決も、罰金も、どちらも有罪の処分である点に注意が必要です。生活への影響、資格への影響、勤務先への説明などを考える場合には、「刑務所に入るか」だけでなく、「前科がつくか」を意識する必要があります。
全部執行猶予と一部執行猶予
執行猶予には、刑の全部の執行猶予と、刑の一部の執行猶予があります。
一般に「執行猶予」といわれる場合、多くは刑の全部の執行猶予を指します。この場合、判決確定後すぐに刑務所に入るわけではなく、猶予期間中の生活が重要になります。
一方、刑の一部の執行猶予では、言い渡された刑の一部について実際に刑務所で執行を受け、その残りの部分について執行が猶予されることがあります。
どの制度が問題になるかは、罪名、事件の内容、前科前歴、再犯防止の必要性などによって変わります。判決の内容を正確に理解することが大切です。
保護観察付き執行猶予とは
執行猶予が付く場合、保護観察が付されることがあります。
保護観察付き執行猶予では、社会の中で生活しながら、保護観察官や保護司の指導監督を受けることになります。再犯を防ぎ、生活を立て直すための制度です。
保護観察が付いた場合には、一定の遵守事項を守る必要があります。生活状況、交友関係、仕事、通院、薬物や飲酒の問題など、事件の内容に応じた指導が行われることがあります。
保護観察にきちんと対応することは、執行猶予を維持するうえでも重要です。軽く考えず、決められた約束を守る必要があります。
執行猶予が取り消される場合
執行猶予が付いても、期間中の行動によっては、執行猶予が取り消されることがあります。
執行猶予が取り消されると、猶予されていた刑の執行を受けることになります。つまり、刑務所に入るリスクが現実化します。
取消しには、法律上必ず取り消される必要的取消しと、裁判所の判断で取り消されることがある裁量的取消しがあります。
執行猶予付き判決は、刑務所に入らずに済んだというだけで終わりではありません。猶予期間中の生活をどう送るかが非常に重要です。
必要的取消しとは
必要的取消しとは、一定の事情がある場合に、裁判所が執行猶予を取り消さなければならないものです。
代表的なのは、執行猶予期間中にさらに罪を犯し、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予が付かなかった場合です。
また、執行猶予の言渡し前に犯した他の罪について、拘禁刑以上の実刑判決を受けた場合なども問題になります。
必要的取消しに当たる場合には、前の事件で猶予されていた刑の執行を受けることになるため、生活への影響は非常に大きくなります。
裁量的取消しとは
裁量的取消しとは、一定の事情がある場合に、裁判所の判断で執行猶予が取り消されることがあるものです。
たとえば、執行猶予期間中にさらに罪を犯し、罰金刑に処せられた場合には、執行猶予の取消しが問題になることがあります。
また、保護観察付き執行猶予の場合、保護観察の遵守事項を守らず、その情状が重いときには、取消しが問題になることがあります。
裁量的取消しは、必ず取り消されるという意味ではありません。しかし、執行猶予期間中の再犯や重大な遵守事項違反は、非常に重く見られる可能性があります。
執行猶予取消しの手続
執行猶予の取消しは、自動的に処理されるだけではなく、裁判所の手続で判断されます。
通常、検察官の請求を受けて、裁判所が取消しを判断します。その際、執行猶予を受けている本人や代理人の意見を聴く手続が行われることがあります。
執行猶予取消しが問題になっている場合には、何が取消しの理由とされているのか、必要的取消しなのか裁量的取消しなのか、主張できる事情があるのかを早めに確認する必要があります。
特に、保護観察の遵守事項違反や罰金事件が理由になっている場合には、違反の内容、経緯、反省状況、今後の改善策を整理することが重要です。
執行猶予中に再犯した場合
執行猶予中に再び犯罪をした場合、執行猶予の取消しや、新しい事件での処分が問題になります。
特に、新たな事件で拘禁刑以上の実刑判決を受ける場合には、前の執行猶予が取り消されるリスクが高くなります。その場合、前の刑と新しい刑の両方が重くのしかかることがあります。
執行猶予中の事件では、通常の事件よりも見通しが厳しくなることがあります。早い段階で、何が起きたのか、どのような証拠があるのか、示談や再発防止策をどう整えるのかを確認する必要があります。
執行猶予中だからこそ、「今回は軽い事件だから大丈夫」と判断しないことが大切です。
再度の執行猶予が問題になる場合
過去に執行猶予付き判決を受けている場合でも、一定の場合には再度の執行猶予が問題になることがあります。
現在の刑法では、前に拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予された人が、2年以下の拘禁刑の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときには、再度の執行猶予が問題になることがあります。
ただし、再度の執行猶予は、初めての執行猶予よりも判断が厳しくなります。前回の事件からの経過、今回の事件の内容、再犯に至った事情、被害者対応、生活環境、治療や更生の取り組みなどが重要になります。
再犯事件では、本人の反省だけでなく、なぜ再犯に至ったのか、今後どう防ぐのかを具体的に示す必要があります。
執行猶予を目指すために重要な事情
執行猶予を目指すためには、裁判所に対して、社会の中で更生できる事情を具体的に示す必要があります。
被害者がいる事件では、謝罪、被害弁償、示談の有無が重要になることがあります。被害が回復されているか、被害者の処罰感情がどのようなものかは、裁判で見られることがあります。
本人の反省、再発防止策、家族の監督体制、仕事や学校への復帰、通院や治療、交友関係の見直しなども重要です。
単に「反省しています」と述べるだけでは足りない場合があります。なぜ事件が起きたのか、何を変えるのか、誰が支えるのかを具体的に整理することが大切です。
量刑で見られる事情
裁判所が刑の重さや執行猶予を付けるかどうかを考える際には、犯罪そのものの事情と、本人側の事情が見られます。
犯罪そのものの事情としては、結果の重さ、危険性、被害の程度、動機、計画性、犯行態様などが問題になります。
本人側の事情としては、前科前歴、反省、被害者への弁償、示談の成否、家族の監督体制、仕事や生活の状況、再発防止策などが問題になります。
執行猶予を目指す場合には、事件の重さを正面から受け止めたうえで、社会内で更生できる事情を具体的に示す必要があります。
示談と執行猶予の関係
被害者がいる事件では、示談が執行猶予を目指すうえで重要な事情になることがあります。
示談が成立している場合、被害弁償が済んでいること、被害者対応が進んでいること、被害者の意向が示されていることを裁判所に伝えることができます。
ただし、示談が成立すれば必ず執行猶予になるわけではありません。事件の重大性、被害の程度、犯行態様、前科前歴なども総合的に判断されます。
また、本人や家族が直接被害者へ連絡することには注意が必要です。謝罪のつもりでも、被害者に不安を与えたり、証拠隠滅や威迫を疑われたりすることがあります。
示談について詳しく知りたい方は、示談とはのページも確認してください。
起訴後に執行猶予を目指す流れ
執行猶予は、起訴された後、裁判で有罪判決が見込まれる場合に問題になります。
起訴後は、まず起訴状の内容を確認し、起訴内容を認めるのか争うのかを整理します。認める事件では、量刑を軽くする事情や執行猶予を目指す事情を準備します。
被害者がいる事件では、示談や被害弁償を進めることがあります。家族の監督体制、再発防止策、反省文、職場や学校への復帰状況なども準備します。
起訴について詳しく知りたい方は、起訴とはのページも参考になります。
保釈と執行猶予の違い
保釈と執行猶予は、まったく別の制度です。
保釈は、起訴後に勾留されている被告人について、裁判中の身体拘束を解く制度です。判決が出る前の段階で問題になります。
執行猶予は、有罪判決が出た後に、刑の執行を一定期間猶予する制度です。判決の内容として問題になります。
保釈されたからといって、執行猶予が決まったわけではありません。逆に、保釈されなかったからといって、必ず実刑になるわけでもありません。
保釈については、保釈とはのページも確認してください。
執行猶予判決と身柄解放
起訴後も勾留されていた場合、判決で刑の全部の執行猶予が言い渡されると、身柄が解放されることがあります。
ただし、判決内容や事件の状況によって確認すべき点はあります。判決後の手続、保釈保証金の返還、控訴の有無、今後の生活上の注意点などを整理する必要があります。
執行猶予付き判決が出た場合でも、事件への対応が完全に終わるわけではありません。猶予期間中の生活、保護観察が付いた場合の対応、仕事や学校への説明などを考える必要があります。
執行猶予と仕事・学校への影響
執行猶予付き判決を受けた場合、刑務所に直ちに入るわけではないため、仕事や学校に戻れる可能性があります。
ただし、有罪判決であることには変わりません。職種、資格、勤務先の規程、学校の規則、事件の内容によっては、処分や説明が問題になることがあります。
会社や学校にどこまで説明するかは、事案によって慎重に考える必要があります。事実と違う説明をすると後で矛盾が生じるおそれがありますが、必要以上に詳細を話すことで影響が広がることもあります。
会社や学校への影響が不安な方は、会社・学校に知られたくない方へのページも参考になります。
執行猶予と実名報道の不安
執行猶予付き判決を受けた場合、正式裁判が行われているため、実名報道や周囲への発覚を心配する方もいます。
執行猶予が付いたからといって、報道が必ず止まるわけではありません。事件の内容、社会的関心、本人の立場、被害の重大性などによって、報道リスクは変わります。
実名報道を完全に防げるとは限りませんが、起訴前からの示談、不起訴を目指す対応、起訴後の裁判準備、保釈、生活への影響を抑える対応などを早めに整理することは重要です。
実名報道が不安な方は、実名報道を避けたい方へのページも確認してください。
少年事件と執行猶予
少年事件では、成人の刑事裁判とは異なる手続が中心になります。家庭裁判所で、少年の更生や再非行防止を重視した手続が行われます。
もっとも、重大事件や年齢、事件内容によっては、家庭裁判所から検察官へ送致され、刑事裁判が問題になることがあります。その場合には、成人事件と同じように刑事裁判で判決が言い渡され、執行猶予が問題になることがあります。
少年事件では、家庭環境、保護者の監督体制、学校生活、被害者対応、再発防止策が特に重要になります。
少年事件で親が何をすべきかについては、少年事件で親がすべきことのページも参考になります。
執行猶予を弁護士に相談する意味
執行猶予を目指すためには、裁判で何をどのように伝えるかが重要です。
被害者がいる事件では、示談や被害弁償をどのように進めるかが問題になります。再発防止策が必要な事件では、通院、治療、環境調整、家族の監督体制などを具体的に準備する必要があります。
争うべき事件では、そもそも有罪を前提にするべきか、証拠関係をどう見るべきかを検討する必要があります。認める事件でも、どの事実を認め、どの事情を裁判所に伝えるかは慎重に考えなければなりません。
執行猶予を目指す場面では、単に反省を述べるだけでなく、社会内で更生できる事情を具体的に示すことが大切です。
千葉で執行猶予について不安な方へ
執行猶予とは、有罪判決を受けた場合でも、一定期間、刑の執行を猶予する制度です。直ちに刑務所に入るわけではありませんが、有罪判決であるため、前科がつく点には注意が必要です。
執行猶予を目指せるかどうかは、事件の内容、被害の程度、前科前歴、示談、反省、再発防止策、家族の監督体制などによって変わります。
千葉で刑事事件の執行猶予について不安がある方は、まず現在の段階を確認してください。起訴前なのか、起訴後なのか、正式裁判なのか、被害者がいる事件なのか、実刑のリスクがどの程度あるのかによって、取るべき対応は変わります。
執行猶予に関するよくある質問
執行猶予とは何ですか?
執行猶予とは、有罪判決で刑を言い渡された場合に、一定期間、その刑の執行を猶予する制度です。判決確定後すぐに刑務所に入るわけではありませんが、有罪判決であることに変わりはありません。
執行猶予が付くと刑務所に行かなくてよいのですか?
刑の全部の執行猶予が付いた場合、判決確定後すぐに刑務所へ入るわけではありません。ただし、猶予期間中に再犯をした場合などには、執行猶予が取り消され、刑の執行を受ける可能性があります。
執行猶予期間を無事に過ごすとどうなりますか?
執行猶予が取り消されることなく猶予期間を経過した場合、刑の言渡しは効力を失います。ただし、有罪判決を受けた事実や、捜査・裁判に関する記録がすべて消えてなくなるわけではありません。
執行猶予と実刑は何が違いますか?
実刑は、有罪判決が確定した後、実際に刑務所などで刑の執行を受ける判決です。執行猶予は、刑の執行を一定期間猶予し、社会の中で生活しながら更生の機会を与える制度です。
執行猶予が付いても前科になりますか?
前科になります。執行猶予付き判決でも、有罪判決であることに変わりはありません。「刑務所に入らないから前科ではない」という理解は正確ではありません。
執行猶予と不起訴は違いますか?
違います。不起訴は、検察官が裁判にかけない処分であり、通常は前科がつきません。執行猶予は、起訴後の裁判で有罪判決を受けたうえで、刑の執行が猶予される制度です。
罰金と執行猶予は違いますか?
違います。罰金は金銭を納付する刑罰です。執行猶予は、言い渡された刑の執行を一定期間猶予する制度です。ただし、罰金も執行猶予付き判決も、有罪の処分であり前科が問題になります。
執行猶予が付くための条件は何ですか?
基本的には、言い渡される刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であることなどが問題になります。ただし、形式的な条件を満たしていても必ず執行猶予が付くわけではなく、事件の内容や情状が総合的に判断されます。
執行猶予期間はどのくらいですか?
刑の全部の執行猶予では、裁判が確定した日から1年以上5年以下の範囲で期間が定められます。判決では、「拘禁刑2年、執行猶予3年」のように、刑と猶予期間が示されます。
初犯なら執行猶予が付きますか?
初犯であることは有利な事情になることがありますが、必ず執行猶予が付くわけではありません。事件の重大性、被害の程度、被害者の処罰感情、示談の有無、反省状況、再発防止策などが総合的に判断されます。
示談すれば執行猶予になりますか?
示談は執行猶予を目指すうえで重要な事情になることがあります。ただし、示談が成立すれば必ず執行猶予になるわけではありません。事件の内容、被害の程度、前科前歴、犯行態様なども判断されます。
執行猶予が取り消されることはありますか?
あります。執行猶予期間中に再び犯罪をした場合や、保護観察付き執行猶予で遵守事項に重大な違反がある場合などには、執行猶予が取り消されることがあります。
必要的取消しとは何ですか?
必要的取消しとは、法律上、一定の事情がある場合に執行猶予を必ず取り消さなければならないものです。たとえば、猶予期間中にさらに罪を犯し、拘禁刑以上の実刑判決を受けた場合などが問題になります。
裁量的取消しとは何ですか?
裁量的取消しとは、一定の事情がある場合に、裁判所の判断で執行猶予が取り消されることがあるものです。猶予期間中に罰金刑に処せられた場合や、保護観察の遵守事項違反が重い場合などが問題になります。
執行猶予が取り消されるとどうなりますか?
執行猶予が取り消されると、猶予されていた刑の執行を受けることになります。つまり、刑務所に入るリスクが現実化します。新たな事件がある場合には、その事件の刑もあわせて問題になります。
執行猶予取消しの手続では何が行われますか?
通常、検察官の請求を受けて裁判所が取消しを判断します。本人や代理人の意見を聴く手続が行われることがあります。取消しが問題になった場合は、理由や主張できる事情を早めに整理する必要があります。
執行猶予中に再犯した場合、必ず刑務所に行きますか?
必ずとはいえませんが、執行猶予中の再犯は非常に重く見られます。前の執行猶予の取消しや、新しい事件での実刑が問題になることがあります。早い段階で事件内容と証拠関係を確認する必要があります。
再度の執行猶予はありますか?
一定の場合には、再度の執行猶予が問題になることがあります。ただし、初めての執行猶予よりも判断は厳しくなります。事件の内容、前回判決からの経過、再発防止策、更生環境などを具体的に整理する必要があります。
再度の執行猶予にはどのような事情が必要ですか?
新たに言い渡される刑が2年以下の拘禁刑であることに加え、情状に特に酌量すべきものがあることが重要になります。再犯に至った原因、被害者対応、治療や生活環境の改善などを具体的に示す必要があります。
保護観察付き執行猶予とは何ですか?
保護観察付き執行猶予とは、執行猶予期間中に、保護観察官や保護司の指導監督を受けながら社会内で生活する制度です。決められた遵守事項を守ることが重要になります。
保護観察が付くと生活はどう変わりますか?
保護観察官や保護司との面談、生活状況の報告、遵守事項を守ることなどが必要になります。事件の内容によっては、交友関係、仕事、通院、薬物や飲酒に関する指導が行われることがあります。
保護観察の約束を守らないとどうなりますか?
保護観察の遵守事項に違反し、その情状が重い場合には、執行猶予の取消しが問題になることがあります。軽く考えず、決められた指導や約束を守る必要があります。
全部執行猶予と一部執行猶予は違いますか?
違います。全部執行猶予は、言い渡された刑の全部について執行が猶予される制度です。一部執行猶予は、刑の一部について実際に執行を受け、残りの部分の執行が猶予される制度です。
保釈と執行猶予は同じですか?
同じではありません。保釈は、起訴後に勾留されている被告人について、裁判中の身体拘束を解く制度です。執行猶予は、有罪判決の中で刑の執行を猶予する制度です。
執行猶予判決が出ると保釈中の身柄はどうなりますか?
刑の全部の執行猶予が言い渡された場合、直ちに刑務所へ入るわけではありません。勾留中であれば身柄解放が問題になります。保釈保証金の返還や控訴の有無など、判決後の手続も確認する必要があります。
執行猶予が付くと仕事や学校に戻れますか?
刑務所に直ちに入るわけではないため、仕事や学校に戻れる可能性があります。ただし、有罪判決であるため、職種、資格、勤務先や学校の規程、事件内容によっては処分や説明が問題になることがあります。
執行猶予が付くと実名報道は避けられますか?
執行猶予が付いたからといって、実名報道を避けられるとは限りません。事件の内容、社会的関心、本人の立場などによって報道リスクは変わります。実名報道が不安な場合は、早い段階から生活への影響を抑える対応を検討する必要があります。
執行猶予を目指すために家族ができることはありますか?
家族の監督体制を整えること、再発防止策に協力すること、生活環境を安定させること、必要に応じて通院や治療を支えることなどが考えられます。抽象的ではなく、誰がどのように支えるのかを具体的に整理することが大切です。
被害者がいる事件で執行猶予を目指すには何が重要ですか?
被害者への謝罪、被害弁償、示談、被害者の意向、再発防止策が重要になることがあります。ただし、被害者へ直接連絡することにはリスクがあるため、弁護士を通じた対応を検討した方がよい場合があります。
起訴後でも執行猶予を目指せますか?
起訴後の正式裁判で、有罪判決が見込まれる場合に執行猶予が問題になります。示談、反省、再発防止策、家族の監督体制、仕事や生活の状況などを裁判に向けて整理する必要があります。
否認事件でも執行猶予を考える必要がありますか?
否認事件では、まず起訴内容を争うべきかが重要です。一方で、争点や証拠関係によっては、予備的に量刑や執行猶予を見据えた準備を検討する場合もあります。認める部分と争う部分を慎重に整理することが大切です。
千葉で執行猶予について不安な場合、まず何を確認すべきですか?
まず、起訴前なのか起訴後なのか、正式裁判になるのか、被害者がいる事件なのか、前科前歴があるのか、実刑のリスクがどの程度あるのかを確認してください。段階によって取るべき対応は変わります。

千葉で刑事事件に注力。逮捕・示談・不起訴のご相談に対応しています。
