刑事事件の示談は、被害者側との間で、謝罪、被害弁償、今後の接触を避けることなどを整理する手続です。示談が成立したことは、不起訴や量刑の見通しを考えるうえで重要な事情になることがあります。ただし、示談が成立すれば必ず不起訴になるわけではありません。
示談でまず確認すべきこと
示談は、示談金だけを決める手続ではありません。謝罪、被害回復、今後の接触を避ける約束、再発防止策、示談書の内容まで含めて整理する必要があります。
被害者に直接連絡すると、かえって不安や負担を大きくすることがあります。事件の内容によっては、接触禁止や罪証隠滅を疑われるおそれもあるため、進め方は慎重に考える必要があります。
1 示談の目的
謝罪、被害弁償、不起訴や量刑への影響など、何を目的にするのかを確認します。
2 相手方の意向
話し合いを望むか、直接接触を避けたいか、相手方が何を重視しているかを確認します。
3 進め方
連絡方法、謝罪文、示談金、示談書、接触禁止、再発防止策を整理します。
このページで分かること
- 刑事事件の示談とは何か
- 示談が不起訴や量刑に与える意味
- 示談金だけで決まるものではない理由
- 被害者に直接連絡するリスク
- 示談を進める段階で弁護士に相談する意味
早めに相談した方がよい場面
- 被害者がいる事件で、示談を検討する必要がある
- 被害者にどう連絡すべきか分からない
- 逮捕・勾留中で、早く被害者対応を考えたい
- 示談が不起訴に関係するのか知りたい
- 示談書の内容や接触禁止の条件を整理したい
刑事事件の示談とは何か
刑事事件の示談とは、事件に関する損害賠償、謝罪、今後の関わり方などについて、被害者側と加害者側が合意することをいいます。
示談の内容は事件によって異なります。示談金の支払いだけでなく、今後連絡しないこと、近づかないこと、同じ行為を繰り返さないことなどを確認することもあります。
示談は、お金を払えば終わるというものではありません。被害の内容、相手方の意向、現在の手続段階、今後の生活への影響を踏まえて進める必要があります。
示談が問題になる段階
示談は、逮捕前、在宅事件、逮捕後、起訴後のいずれの段階でも問題になることがあります。
早い段階で示談が成立することが重要になる事件もあります。一方で、すでに起訴された事件でも、示談が無意味になるわけではありません。
逮捕前・在宅事件
警察や検察の取調べ、起訴・不起訴の判断を見据えて、被害者対応を検討します。
逮捕後・勾留中
身体拘束が続く中で、取調べ対応や釈放の問題と並行して検討します。
起訴後
裁判になった後でも、被害回復や被害者側の意向が問題になることがあります。
刑事手続全体の流れは、刑事手続の流れも確認してください。
示談が成立すれば必ず不起訴になるのか
示談が成立すれば必ず不起訴になる、というものではありません。起訴するか不起訴にするかは、最終的には検察官が判断します。
事件の内容、証拠関係、被害の程度、前科・前歴、犯行後の事情などを踏まえて判断されます。示談の成立は重要な事情になり得ますが、それだけで結論が自動的に決まるわけではありません。
不起訴を目指す場合は、不起訴を目指す方へも確認してください。
示談は示談金だけで決まるものではありません
示談というと、いくら支払うかだけが問題のように見えることがあります。しかし実際には、金額以外の条件も重要です。
示談で整理すること
- 謝罪の方法
- 被害弁償の金額・支払方法
- 今後の接触を避ける約束
- 再発防止策
- 示談書の内容
相手方が重視すること
- 謝罪の受け止め方
- 今後連絡されないこと
- 同じことが起きないこと
- 話し合いの進め方
- 被害感情への配慮
金額だけを先に決めようとすると、かえって話し合いが進みにくくなることがあります。何を合意の中心にするべきかを、事案ごとに整理することが大切です。
示談は相手方の同意がなければ成立しません
示談は合意です。こちらが望んでも、相手方が話し合いを望まない場合には成立しません。
被害者側がすぐに話し合いに応じられないこともあります。その場合でも、謝罪文、被害弁償の準備、再発防止策など、今できることを整理する必要があります。
示談を急ぎたい場合でも、相手方の意向を無視して進めることはできません。相手方の負担をできるだけ小さくしながら、どのように意向を確認するかを考えることが重要です。
被害者への直接連絡には注意が必要です
本人や家族が被害者に直接連絡すると、かえって相手方の不安や負担を大きくすることがあります。
特に、性犯罪、盗撮、つきまとい、暴行・傷害、家族間・交際関係のトラブルが背景にある事案では、直接連絡を避けるべき場合があります。無理な連絡は、示談交渉を難しくするだけでなく、接触禁止や罪証隠滅の問題として見られることもあります。
直接連絡を避けた方がよい場面
- 相手方が接触を望んでいない
- 性犯罪・盗撮・つきまといが問題になっている
- 暴行・傷害、家族間・交際関係のトラブルが背景にある
- 証拠隠滅や接触禁止が問題になり得る
示談を進めたい場合でも、まずはどのような方法で相手方の意向を確認するのが適切かを考える必要があります。
起訴後の示談にも意味はあります
示談は起訴前だけの問題ではありません。すでに起訴された事件でも、示談が成立することがあります。
起訴後の示談は、不起訴にはつながりません。ただし、被害回復や被害者側の意向として、裁判での量刑判断に関係することがあります。
起訴後の手続については、起訴後の流れも確認してください。
示談書で確認すること
示談がまとまる場合には、示談書の内容を丁寧に確認する必要があります。
示談金の金額や支払方法だけでなく、清算条項、宥恕文言、今後接触しないこと、違反した場合の扱いなどを、事案に応じて整理します。
示談書で確認する主な内容
- 事件の特定
- 謝罪と被害弁償の内容
- 示談金の金額・支払方法
- 今後接触しないこと
- 清算条項
- 宥恕文言を入れるかどうか
- 刑事処分についての相手方の意向
どの文言を入れるべきかは、事件の内容や相手方の意向によって変わります。ひな形だけで進めず、内容を確認してから署名することが大切です。
示談を進める段階で弁護士に相談する意味
示談は、相手方のある手続です。こちらの都合だけで進めることはできません。
どのように連絡するか、どの条件を示すか、今の段階で示談を優先すべきかは、事件によって違います。示談だけでなく、不起訴、釈放、取調べ対応、今後の生活への影響まで含めて考える必要があります。
弁護士を自分で選んで依頼したい場合は、私選弁護人についても確認してください。
示談対応で坂口靖が確認すること
私は、示談の相談では、まず現在の手続段階を確認します。在宅事件なのか、逮捕・勾留中なのか、起訴前なのか、起訴後なのかによって、示談の意味や急ぐべき対応が変わるからです。
そのうえで、事件の内容、被害の内容、相手方の意向、証拠関係、本人の認識、前科・前歴、生活状況、仕事や学校への影響を整理します。
示談対応で確認する主なポイント
連絡方法
相手方に過度な負担をかけない形で、意向確認の方法を検討します。
示談条件
金額だけでなく、支払方法、接触禁止、再発防止を整理します。
不起訴への対応
示談成立後に、検察官へどの事情を伝えるべきかを検討します。
生活への影響
仕事、学校、家族への影響も見据えて対応を考えます。
当事務所の対応例については、解決実績も確認してください。結果は事案ごとに異なりますが、相談前に対応のイメージを持つ参考になります。
示談で大切なのは、焦って結論だけを追わないことです
示談は、刑事事件の見通しに大きく関わることがあります。しかし、示談さえできればよい、できなければ終わりだと考えるのは危険です。
今どの段階なのか、相手方の意向はどうか、何を条件として整えるべきか、示談以外に何を並行して考えるべきかを順番に整理することが大切です。

刑事事件の示談では、相手方への連絡方法、示談条件、示談書、不起訴や量刑への影響を、事件ごとに整理する必要があります。被害者対応で迷っている方は、早めにご相談ください。
