恐喝事件は、相手を怖がらせて金銭や物を差し出させたり、財産上の利益を受けたりしたとされるときに問題となる刑事事件です。たとえば、「ばらされたくなければ金を払え」と迫る場面、立場の弱い相手に圧力をかけて金銭を出させる場面、トラブルの中で脅すような言い方をして金を受け取る場面などが典型です。恐喝事件は、単なる口論や請求の問題ではなく、相手を畏怖させるような言動によって財産の交付を受けたかどうかが重要になります。刑法では、恐喝して財物を交付させた場合や、財産上不法の利益を得た場合などが処罰の対象とされています。
恐喝事件は、本人としては「本当に請求したかっただけ」「返してもらうために強く言っただけ」と考えていることもあります。しかし、実際には、どのような言い方をしたのか、相手がどのように受け止めたのか、その結果として金銭などを渡したのかが重視されます。怒りにまかせたメッセージや、SNS上でのやり取り、録音、第三者の証言などが後から証拠として問題になることもあります。
恐喝事件とは何か
刑法では、恐喝して財物を交付させた者は恐喝罪とされ、さらに、財物そのものではなく財産上不法の利益を得た場合も処罰されます。つまり、現金を受け取った場合だけではなく、支払うべき金額を免れた場合や、相手に不利益な処分をさせた場合なども、内容によっては問題になります。法定刑は10年以下の拘禁刑で、詐欺と同じ章に置かれています。
ここで大切なのは、恐喝事件は「脅したかどうか」だけで単純に決まるわけではないということです。日常会話の中の強い言い方がすべて恐喝になるわけではありません。他方で、「殴るぞ」といった露骨な言葉がなくても、相手に強い恐怖を与える状況や立場関係の中で金銭を出させれば、恐喝が問題になることがあります。だからこそ、言葉だけを切り取って考えるのではなく、全体の経緯を丁寧に整理する必要があります。
恐喝事件でよくある場面
恐喝事件として問題になりやすいのは、知人同士のトラブル、交際関係のもつれ、未成年同士の金銭要求、職場や学校での上下関係を背景にした請求、SNSやメッセージアプリを使った脅し文句などです。被害者側が「怖くて断れなかった」と説明している場合、やり取りの内容によっては恐喝として捜査されることがあります。
また、恐喝事件では、実際には金銭トラブルが先にあることも少なくありません。貸した金を返してほしい、壊された物の弁償を求めたいといった事情があっても、請求の仕方が相手を怖がらせるものになっていれば、刑事事件化することがあります。正当な請求であれば何を言ってもよいということではありません。逆に、本当に一方的なゆすりだったのか、それとも金銭トラブルの中で言い方が問題になったのかは、丁寧に見ていく必要があります。
恐喝事件と強盗事件の違い
恐喝事件と強盗事件は混同されやすいですが、同じではありません。恐喝は、相手を怖がらせて財物の交付などを受ける類型であり、強盗は、より強い暴行や脅迫によって相手の反抗を抑圧して財物を奪う類型です。サイト本文では、この違いを曖昧にしないことが大切です。刑法上も、恐喝は「詐欺及び恐喝の罪」の章に、強盗は別の条文に置かれています。
恐喝事件で逮捕されることはあるのか
恐喝事件でも逮捕されることはあります。とくに、被害者との接触が続いている場合、報復や再接触のおそれがあると見られる場合、SNSやメッセージの削除など証拠隠滅が疑われる場合、余罪がある場合などは、身柄を取られる可能性があります。一方で、在宅のまま捜査が進む事件もあります。
ただ、在宅事件だから安心とは限りません。恐喝事件では、やり取りの履歴や録音データ、被害申告の内容と、本人の説明の整合性が重視されます。警察から連絡が来た段階でも、何をどう説明するかは慎重に考える必要があります。
恐喝事件のその後の流れ
恐喝事件でも、警察の捜査のあと、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。法務省の案内でも、不起訴処分には、証拠が不十分な場合の嫌疑不十分のほか、証拠が十分でも、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状などを踏まえて起訴しない起訴猶予があると説明されています。
恐喝事件では、被害額、請求の態様、脅しの程度、被害者との関係、前科前歴、被害回復の状況、反省の内容などが重要になります。被害者との示談や被害弁償が進んでいるかどうかは、その後の見通しに関わることがありますが、それだけで結論が決まるわけではありません。
示談や被害弁償が重要な理由
恐喝事件でも、被害者がいる以上、被害回復は重要です。受け取った金銭を返還できるのか、被害者がどのように受け止めているのかは、その後の処分判断に影響することがあります。特に財産犯では、被害回復や示談の状況が無視できません。起訴猶予でも、反省や情状が考慮されることが法務省の案内で示されています。
もっとも、被害者に直接連絡すればよいとは限りません。恐喝事件は、もともと相手が怖い思いをしたと主張している事件です。直接接触をすると、かえって新たな圧力と受け取られるおそれがあります。進め方は慎重であるべきです。
恐喝事件で前科はつくのか
前科がつくのは、有罪判決を受けた場合です。不起訴で終われば、一般に前科はつきません。すべての事件が起訴されるわけではなく、不起訴処分や起訴猶予という制度があります。
もっとも、前科を避けられるかどうかは、初犯かどうかだけでは決まりません。行為の内容、脅しの程度、被害額、被害回復、被害者の意向、やり取りの証拠など、さまざまな事情が関係します。恐喝事件は感情的な対立から発展しやすい事件ですが、その後は冷静に事実を整理することが大切です。
家族が恐喝事件で捜査を受けているときに大切なこと
家族が恐喝事件で警察から連絡を受けたり、逮捕されたりした場合、まずは、誰との間で、どのような金銭ややり取りが問題になっているのかを整理することが大切です。恐喝事件は、本人が「請求しただけ」と考えていても、相手が強い恐怖を感じたと説明していることがあります。言い分が食い違いやすい事件だからこそ、メッセージ履歴や録音など客観的な資料の確認が重要です。
また、家族が相手方に直接連絡するのは慎重であるべきです。相手がすでに被害申告をしている場合、接触それ自体が問題になるおそれがあります。まずは、今どの段階なのかを把握し、事実関係を落ち着いて確認することが大切です。
恐喝事件で弁護士に相談する意味
恐喝事件では、強盗ほどではないと思って軽く考えてしまったり、反対に、少し強く言っただけで重大事件になるのではないかと過度に不安になったりしがちです。ですが、実際には、どのような言動があり、相手がどう受け止め、どのような金銭の移動があったのかを丁寧に見ないと、正確な見通しは立ちません。
また、恐喝事件は、メッセージや録音などの証拠が残りやすく、供述と客観的資料の整合性が重要になりやすい事件です。早い段階で事実を整理し、取調べへの対応、被害回復の可能性、今後の見通しを考えることには意味があります。
千葉で恐喝事件について弁護士を探している方へ
千葉で恐喝事件について不安を抱えている方は、まず、誰に対して、どのような言動をし、何が問題になっているのかを整理することが大切です。恐喝事件は、感情的なトラブルの延長で起きることもありますが、刑事事件になれば、逮捕、取調べ、不起訴、前科、仕事や家族への影響まで見据える必要があります。
恐喝事件では、思い込みで「これは請求だから大丈夫」と決めつけるのではなく、事実に沿って慎重に考えることが重要です。財産犯罪の一類型として、被害回復やその後の手続も含めて見通しを持つことが大切です。
恐喝事件でよくあるご質問
恐喝事件と強盗事件の違いは何ですか
恐喝事件は、相手を怖がらせて金銭や物を差し出させたり、財産上の利益を受けたりした場合に問題となります。これに対し、強盗事件は、より強い暴行や脅迫によって相手の反抗を抑えて財物を奪う場合が典型です。どちらも似て見えることがありますが、同じではなく、行為の態様や相手への影響の程度などが重要になります。
お金を返してほしくて強く請求しただけでも恐喝事件になることがありますか
あります。実際に返してもらう理由があったとしても、請求の仕方が相手を怖がらせるものであれば、恐喝事件として問題になることがあります。正当な請求であれば何を言ってもよいわけではなく、どのような言動だったのか、相手がどう受け止めたのかが重要です。
恐喝事件では必ず逮捕されるのでしょうか
必ず逮捕されるわけではありません。恐喝事件では、在宅事件として進む場合もあります。ただ、被害者との接触が続いている場合、報復や再接触のおそれがあるとみられる場合、証拠隠滅が疑われる場合などには、逮捕される可能性があります。警察から連絡を受けた段階でも、慎重な対応が大切です。
恐喝事件で示談ができれば不起訴になりますか
示談ができたからといって、必ず不起訴になるとは限りません。ただ、恐喝事件でも、被害回復や被害者の受け止め方は重要な事情になります。特に、受け取った金銭の返還や話し合いの状況は、その後の処分や見通しに影響することがありますので、早い段階で適切に整理することが大切です。
家族が恐喝事件で警察から連絡を受けた場合、家族は何をすればよいですか
まずは、誰との間で、どのようなやり取りが問題になっているのか、金銭の授受があったのか、本人はどのように説明しているのかを整理することが大切です。恐喝事件では、家族が相手方に直接連絡すると、かえって状況が複雑になることがあります。まずは事実関係を落ち着いて確認することが重要です。
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