逮捕・勾留された場合でも、常に身柄拘束が最後まで続くわけではありません。逮捕直後、勾留請求前、勾留決定後、起訴後では、釈放を目指す方法が異なります。まずは現在の段階を確認し、逃亡や罪証隠滅のおそれがない事情を具体的に整理することが重要です。
釈放を目指すときにまず確認すべきこと
釈放を考えるときは、今が逮捕直後なのか、勾留請求前なのか、すでに勾留が決まっているのか、起訴後なのかを分けて考えます。
段階によって、勾留を避ける対応、準抗告、勾留取消し、保釈請求など、検討すべき手続が変わります。
1 現在の段階
警察段階、検察官送致後、勾留決定後、起訴後のどこにいるかを確認します。
2 身柄拘束の理由
逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれ、勾留の必要性が問題になります。
3 家族の準備
身元引受、生活場所、監督体制、関係者と接触しない環境を整理します。
このページで分かること
- 釈放が問題になる主な段階
- 逮捕後72時間でできること
- 勾留を避けるために整理すべき事情
- 準抗告・保釈の考え方
- 家族が釈放に向けて準備できること
早めに相談した方がよい場面
- 家族が逮捕され、いつ出られるか分からない
- 勾留されるかどうかが心配
- すでに勾留が決まり、準抗告を検討したい
- 起訴後に保釈を考えたい
- 仕事・学校・家庭への影響を抑えたい
釈放はどの段階で問題になるのか
釈放といっても、刑事手続のどの段階にあるかによって、考えるべき方法は違います。
逮捕直後であれば、検察官へ送致されずに釈放される場合や、検察官が勾留請求をしない場合があります。勾留請求がされた場合でも、裁判官が勾留を認めなければ釈放されます。
すでに勾留が決まっている場合には、準抗告や勾留取消しを検討することがあります。起訴後に身柄拘束が続く場合には、保釈請求を検討します。
逮捕直後
警察段階や検察官送致後に、勾留されず釈放される可能性を検討します。
勾留請求前後
勾留請求を避ける、または裁判官に勾留を認めないよう求めます。
勾留決定後
準抗告や事情変更に基づく対応を検討します。
起訴後
保釈請求により、判決前の身柄解放を目指します。
逮捕後72時間でできること
逮捕後は、警察が48時間以内に釈放するか検察官へ送致するかを判断します。検察官は、身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求をするか、身柄拘束を続けないかなどを判断します。
この時期は、取調べ対応、家族の監督体制、住居や勤務先、被害者や関係者との接触を避ける方法などを早く整理する必要があります。
逮捕後の全体像は、逮捕後の流れも確認してください。
勾留を避けるために整理すべき事情
勾留は、逮捕されたら自動的に決まるものではありません。逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれ、勾留の必要性などが問題になります。
勾留を避けるには、「逃げません」「証拠隠滅しません」と言うだけでは足りません。具体的な事情を資料や家族の協力とともに整理する必要があります。
住居・生活基盤
定まった住所、同居家族、勤務先や学校などを確認します。
身元引受人
釈放後に本人を監督できる家族や関係者を整理します。
接触防止
被害者や関係者と接触しない環境を整えます。
証拠関係
証拠がすでに確保されているか、隠滅のおそれが低い事情を確認します。
被害者がいる事件では、謝罪や被害弁償、示談の見通しが問題になることもあります。ただし、本人や家族が直接連絡すると、かえって状況が悪くなることがあります。示談については、刑事事件の示談についてを確認してください。
勾留が決まった後でもできること
勾留が決まった後でも、釈放の可能性が完全になくなるわけではありません。
勾留決定に対しては、準抗告という不服申立てを検討することがあります。準抗告では、勾留の理由や必要性が本当にあるのかを、裁判所に改めて判断してもらいます。
また、勾留後に事情が変わることもあります。示談が成立した、家族の監督体制が整った、関係者と接触しない環境を確保できた、仕事や家庭への影響が具体的に分かったなどの事情があれば、身柄解放に向けた主張を検討します。
勾留については、勾留についての解説も確認してください。
勾留期間と勾留延長
勾留が認められると、捜査段階では原則10日間の身体拘束が続きます。さらに、やむを得ない事由がある場合には、10日以内の延長が認められることがあります。
逮捕から起訴・不起訴の判断まで、最長で23日程度の身柄拘束が問題になることがあります。ただし、すべての事件で最大期間まで続くわけではありません。
捜査段階の勾留
- 原則10日間
- やむを得ない事由がある場合、10日以内で延長されることがある
- 起訴・不起訴の判断まで身柄拘束が続くことがある
起訴後の身柄拘束
- 起訴後は保釈請求を検討する
- 保釈保証金や身元引受人が問題になる
- 裁判所が定める条件を守る必要がある
起訴後は保釈を検討します
起訴後に身体拘束が続く場合には、保釈請求を検討します。保釈は、起訴後の被告人について、保釈保証金の納付や条件遵守を前提に、身体拘束を解く制度です。
保釈は、逮捕直後や起訴前の被疑者段階では請求できません。起訴後に、本人、弁護人、一定の親族などが請求します。
保釈が認められた場合でも、被害者や関係者との接触禁止、住居の制限、出頭義務など、裁判所が定める条件を守る必要があります。条件に違反すると、保釈が取り消されることがあります。
保釈については、保釈についての解説も確認してください。
家族が釈放に向けて準備できること
釈放を目指す事件では、ご家族の協力が重要になることがあります。
まず、逮捕された日時、警察署、容疑名、勾留の有無、接見禁止の有無、弁護人が付いているかを確認します。そのうえで、釈放後の生活場所、身元引受人、監督体制、被害者や関係者と接触しない方法を整理します。
家族が確認・準備すること
- 逮捕日時、警察署、容疑名
- 勾留の有無、接見禁止の有無
- 本人の体調、服薬、家族への伝言
- 釈放後の生活場所
- 身元引受人、監督者
- 被害者や関係者と接触しない環境
家族だけで被害者に直接連絡することは避けた方がよい場合があります。謝罪や示談を急ぎたい場合でも、まずは方法を確認してください。
取調べ対応も釈放に関わることがあります
釈放を目指すうえでは、取調べでの供述内容も重要です。供述内容が、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、反省状況、事件の見通しに関わることがあります。
事実と違う内容を認めたり、覚えていないことを断定したり、推測を事実のように話したりすると、その後の対応が難しくなることがあります。
取調べについては、取調べについての解説も確認してください。
少年事件の場合
20歳未満の少年事件では、成人の刑事事件とは異なる手続が問題になります。逮捕後に勾留が問題になることもありますが、家庭裁判所に送致された後は、観護措置として少年鑑別所に収容されるかどうかが問題になることがあります。
少年事件では、家庭環境、学校、保護者の監督体制、再発防止策、被害者対応などを含めて準備します。少年事件については、少年事件で親がすべきことも確認してください。
釈放対応で坂口靖が確認すること
私は、釈放を目指す相談では、まず現在の段階を確認します。逮捕直後なのか、勾留請求前なのか、すでに勾留が決まっているのか、起訴後なのかによって、取るべき対応が変わるからです。
そのうえで、逃亡のおそれがない事情、罪証隠滅のおそれが低い事情、家族の監督体制、住居や勤務先、被害者や関係者と接触しない方法、示談や被害弁償の見通しを整理します。
釈放対応で確認する主なポイント
現在の段階
逮捕直後、勾留請求前後、勾留決定後、起訴後のどの段階かを確認します。
身柄拘束の理由
逃亡や罪証隠滅のおそれがあると見られている事情を整理します。
家族の監督体制
身元引受人、生活場所、釈放後の監督方法を確認します。
被害者対応
示談、謝罪、接触を避ける方法を事案に応じて整理します。
当事務所の対応例については、解決実績も確認してください。結果は事案ごとに異なりますが、相談前に対応のイメージを持つ参考になります。
釈放を目指すには、今の段階を見誤らないことが重要です
釈放を目指す方法は一つではありません。逮捕直後、勾留請求前、勾留決定後、起訴後で、取るべき対応は変わります。
まず現在の段階を確認し、身柄拘束を続ける必要がない事情を具体的に整理することが大切です。

釈放を目指す事件では、手続の段階ごとに対応が変わります。勾留を避ける対応、準抗告、保釈請求、家族の監督体制、示談や被害者対応を、事件ごとに整理します。
